「ヨルダン川西岸に生きる」ーBS世界のドキュメンタリー

「ヨルダン川西岸に生きる」ーBS世界のドキュメンタリー

NHKBS放送の「BS世界のドキュメンタリー」シリーズ。
「ヨルダン川西岸に生きる〜パレスチナ人家族25年の記録〜」

映画「ノー・アザー・ランド」と同じくヨルダン川西岸に暮らす人々を描いている。こちらは25年間の記録なので、その間の変化がより大きく、人々の苦難の歴史が綴られていく。この地で700年以上も農業を営んできたのに、植えた木が倒され、家が壊され、入植者たちの挑発と暴力に晒されている。イスラエル人の入植が進み、巨大な建物群があらわれた25年後の映像はあらためてショックだった。入植地には水道が引かれ、パレスチナ人の土地には雨水を溜める貯水槽が作られている。その貯水槽をイスラエル軍が壊していく。「ノー・アザー・ランド」でも同じように井戸を埋めるシーンがあった。
何でこんな理不尽な事が平気でできるのか。やりきれない。
少しほっとしたのはイスラエルにもこういう行為を批判する活動家がいて、抗議する姿があった事。「同じイスラエル人として恥ずかしい」と言っている。

印象的だったこと。抗議する女性に若いイスラエル兵士が「ここは2000年前に我々が住んでいた。やっと帰ってきたらよその人が住んでいた。自分たちの行為は正当だ」と言う。
それに対して「パレスチナ人だって2000年前から住んでいた」と答えると、しばらく黙っていたが、「自分は聖書を信じている」と言って会話は終わる。
「聖書を信じている」それが根拠なのか。そういえば以前のドキュメンタリーでも、パレスチナに同情的な人に、その友人が「元々我々の土地をパレスチナ人に譲歩してやってた。それはちゃんと聖書に書いてある」と言っていた。

人道的な考えよりも国際法よりも、何より「聖書」なのか。それを持ち出されたらどうすればいいのか。

思い立って聖書を読んでみた。
モーゼに率いられエジプトを脱出し、苦難の末にモーゼの後継者ヨシュアが率いて神が約束した地カナンに入る。ヨルダン川を渡りエリコの町に至る。難攻不落なエリコの城塞を神が崩してイスラエルが攻め入るのだが、ここで驚いた。神の言葉が「町とその中にあるものはことごとく滅ぼし尽くして主にささげよ」なのだという。え、滅ぼしつくす?
「エリコの戦い」って言葉は知っていたけど、まさか虐殺なの?
Wikipediaによると、考古学的にはイスラエル人がエリコに着いたときはすでに町は廃墟だったらしい。だから虐殺はなかったらしいが、でも聖書にこう書いてあるということは、意味のあることなのだろう。「聖絶」というらしい。
神を信じなかった人々を滅ぼしたのか。「ノアの方舟」で一旦全人類をほろぼした神だから、それくらいやりそうだ。

なんか読んでいたら気が滅入ってきた。信者でも研究者でもないわたしには、聖書を正しく読み解くのは難しい。パレスチナ人を人間扱いしないイスラエル人の根拠が聖書なら、もうどうしようもない気がする。それでも国際社会は全ての人の人権を尊重するように、働きかけていくしかない。

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