昔話からの連想

昔話からの連想

読書会の課題書の中に、グリムの「盗賊の花婿」が出てきて、この話がイギリスの昔話の「ミスター・フォクス」とほぼ同じ話であることを知った。さらにペローの「青ひげ」とも類似点があると。グリムと比べると「ミスター・フォックス」の方がより怖い。昔話は採集する時期、場所、語り手、そして再話する人によっていろいろ違いが出てくるのでおもしろい。

『語るためのグリム童話2』
小澤俊夫/監訳 小澤昔ばなし研究所/再話 オットー・ウベローペ/絵 小峰書店 2007年

『世界むかし話 イギリス』
三宅忠明/訳 クエンティン・ブレイク/画 ほるぷ出版 1988年

『イギリス民話集』
河野一郎/編訳 岩波文庫 1991年


「青ひげ」で思い出したのが、クリスティの短編「うぐいす荘」だ。懐かしくて再読した。「うぐいす荘」は創元版のタイトルで、早川版だと「ナイチンゲール荘」になる。わたしは最初にクリスティに出会ったのが創元推理文庫だったので、どうしても「うぐいす荘」の印象が強い。でも原題は「Philomel Cottage」なので、ナイチンゲールの方が正しい。ナイチンゲールは小夜啼鳥(サヨナキドリ)とか夜啼鶯(ヨナキウグイス)という別名があるので、この「夜啼鶯」から「うぐいす荘」としたのだろう。日本にはいない鳥なので、鳴き声を想像させるためだったのかもしれない。でもナイチンゲールは夜鳴くし、鳴き声もうぐいすとは違う。作中でその鳥の声を聞く場面があるが(ロマンチックな状況で)、その時の鳴き声が二つの版では違うことになる。
タイトルとしては「うぐいす荘」の方が好きだけど、「ナイチンゲール荘」の方が原作通りなのだ。

今回どちらも読んでみたけど、当たり前だけど違いはそこだけだった。サスペンスの盛り上げ方はさすがで、思いがけないラストまで一気に読ませる。クリスティはやっぱり上手いなあ。

『白鳥の歌 クリスティ短編全集2』
アガサ・クリスティ/著 厚木淳/訳 創元推理文庫 1967年

『リスタデール卿の謎 クリスティー短編集11』
アガサ・クリスティー/著 田村隆一/訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1981年

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