『花売りセンパチュンチュン』 | 日々の雑記
『花売りセンパチュンチュン』

『花売りセンパチュンチュン』

『花売りセンパチュンチュン』 茂市久美子・文 アヤ井アキコ・絵 BL出版 2025年

副題に「ネパール・ヒマラヤのむかしばなし」とある。
『ヒマラヤの民話を訪ねて』の民話編の「センパチュンチュンとハンバチェン」を絵本にしたもの。お人よしのセンパチュンチュンが欲深いハンバチェンにだまされれひどい目にあうけど、結局は幸せになる話。花売りなので花がたくさん出てきて、それがみんな美しい。青いケシもある。きれいな色彩の可愛い絵で楽しく読める。ケサル神の社に動物たちが集まる場面は、その他の場面と違い暗い色調で恐ろしく迫力がある。

著者のあとがきにもシェルパの村を訪ねたことが書いてある。ネパールといってもその中のシェルパ族の民話。彼らはチベット仏教を信仰している。そういえば山岳地出身で、カトマンズで働いていた夫の同僚も仏教徒だった。わたしが暮らしていたカトマンズではヒンズー教徒が多かったが、ヒンズー教の寺院の他に仏教寺院もありキリスト教徒もいた。カトマンズ盆地のパタンにはチベットの難民キャンプもあった。チトワン国立公園に行った時泊まったのがタルービレッジで、夜にはタルー族のダンスが披露されていた。カトマンズ盆地にはネワール族が多く住んでいて、ネワール語は標準のネパール語とは違った言語だった。ティハールの祭はネワール族の新年になる。光にあふれた美しい祭だった。
ネパールはいくつもの民族で構成されている多民族国家。それぞれに言語、宗教、服装、文化の違いがある。独自の昔話もあるのだろうなあ。

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