『ヒマラヤの民話を訪ねて』

『ヒマラヤの民話を訪ねて』

『ヒマラヤの民話を訪ねて』 茂市久美子・著 白水社 1999年

1982年に出版された本の新装版。1978年7月から10月にかけて、ネパールのヒマラヤのふもとシェルパの村を、シェルパの昔話を採取するために訪れた記録。著者はその前の1977年にも民話採集のため訪れている。紀行編と約40の民話編とで構成されている。民話編もいいのだが、わたしにとっては紀行編の方が興味深かった。
ネパールは夫の仕事で家族で1989年〜91年に滞在していた思い出の地だ。わたしの暮らしていたのはカトマンズでこの紀行の10年ほど後だし、シェルパ村の暮らしは実際に経験したことはない。でも長くネパールに暮らしている人や青年海外協力隊の隊員たち、トレッキングに行った人たちからの話など聞いていたので、読みながら想像することはできた。地名や人名、料理、いちいち懐かしい。タルカリ、ダルスープ、アチャール、ダヒ、チャイ、チャパティ、チャンなど並んだ食卓も思い出して懐かしんでいる。いつかまたネパールを再訪したいと思っていたけど、もうこの年になってしまってはかなわないこと。

著者があとがきで、新装版出版の頃(1999年)はこの訪問時から20年もたっていたので、文明の波が押し寄せたシェルパ社会は当時とはずいぶん変わった、と書いている。そうだろうと思う。わたしが暮らしている間もどんどん社会は変化していったから。民話を語ってくれた人も多く故人になったという。文明化は時代の流れで止められない。この時に集めた民話は貴重なもの。著者が祈ったように、同じ形でなくてもずっと語り継がれていってほしいと、わたしも願っている。

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