『またのお越しを』 8巻 | 日々の雑記
『またのお越しを』 8巻

『またのお越しを』 8巻

『またのお越しを』8巻 おざわゆき・著 講談社 2015年 7月

この第8巻で完結。7/11に配信されていた。最終話の一つ前39話まではwebで読んでいた。

まるっきりの素人だった枷耶子たちがお店を開店してから約1年。ライバル店や灯まで巻き込んで、町のイベントとして桜まつりを企画するまでになった。人と関わることが苦手で、言いたいことも言えず辛い現実からは逃げ続けていた枷耶子が、明るい笑顔で接客しお客に寄り添う。人としての成長と商売人経営者としての成長を追ってきた物語が完結した。

その他の登場人物たちもそれぞれの成長を見せる。あんなにだらしなく怠け者だったのえるが、しっかり共同経営者として務めを果たしてし、灯でさえ人のことを労ることができるようになる。というか灯の言うとおりみんなルカちゃんに頼りすぎ!いつだって駆り出されてるし、また頼りになるんだよなルカちゃん。その実力を認められ新しい職場で店を任される。よかったね!
最初感じ悪かったチドリも着物に対する偏見を捨て、いい距離で付き合えてる。
杜紫さんはなあ、カゲリが言うように考えすぎてウジウジしてたけど、また「くくりや」に戻れてよかった。最終話でようやく母親に再会したけど、もっと早く会いに行けよ!カゲリは「あの子はよく泣く、それがいい」と言い、灯はほっとけなくて彼を雇い、あれこれ気にかける。この兄弟あってこそ杜紫さんは立ち直れたんだなあ。
最終話ではイベントに来てくれた高校時代の同級生から、当時のカゲリのエピソードが語られる。昔からブレてなくてかっこいいな。


一方枷耶子とのえるの家族については祖母(おばあ)以外の描写はない。わずかに枷耶子の母親が後姿で枷耶子の夢の中で登場する。枷耶子のあの性格は、母親から常に否定されていたことから形成されていたのがわかる。その他の情報、どこに住んでいて父親やきょうだいはいないのか、などは語られない。それは物語の本筋ではないのだろう。
38話でカゲリがタクシーで枷耶子たちをおばあの家の跡地に連れて行ってくれたけど、一体どこなのだろう?タクシーで行けるから、都内か東京近郊か?それよりなんでカゲリが知ってるのかも謎だけど。たしか1話でのえるがおばあに「かやちんみたいに東京の学校いきたい」とねだってたから、おばあの家も枷耶子やのえるの家も東京じゃないようだ。

第1巻が2022年刊行。4巻までが紙の書籍、5巻からは電子だけになってしまったけど、着物と和小物について懐かしさを覚えて、3年間追ってきた。とりあえず大団円でいいのかな。ほのかに恋の成就も予感させて終わるのは、頑張ってきた枷耶子へのご褒美ということか。「くくりや」の未来が明るいことを祈ろう。

このご時世と年齢があって遠出は出来ないけど、いつか有松へも行けたらいいなと思う。

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