『なんで人は青を作ったの?』

『なんで人は青を作ったの?』

『なんで人は青を作ったの? 青色の歴史を探る旅』 谷口陽子・高橋香里・著 クレメンス・メッツラー・画  新泉社 2025年

「13歳からの考古学」というシリーズの一冊。自然にはほとんど存在しないという青色の鉱物。人類は古代からさまざまな工夫をして青色を作り出してきたという。その青色を中学生が老化学者の指導で作り出していく過程を、物語形式で描いている。
最初のカラー口絵で歴史上の青色を写真で紹介してあって、それだけ見ていても飽きない。挿絵では実験方法が描いてありこれも興味深い。青色を作り出す実験を指導してくれる老化学者が、当時の歴史も教えてくれるのでこれも勉強になる。なるほどこれは考古学なんだ。とは言っても全部理解することは難しいけれど。

ウルトラマリンブルーはラピスラズリから作られ、金1グラムと同じ価値があったといわれる。
人類最古の合成の青色がエジプシャンブルー。
18世紀初頭にドイツ・ベルリンで偶然できたというプルシアンブルー。
コバルトガラスから作られるスマルト。
インディゴから作られるマヤブルー……まだまだあって覚えきれない。

顔料と染料の違いも説明されていた。
顔料は色のついた粉末で水に溶けない固体。絵の具にするためには顔料の粉と膠着材という接着剤を混ぜて練る。
染料は水や液体に溶けるもので、布や革を染められる。染料が繊維から溶け出さないように、媒染剤という薬品と結合させる。ーなるほど。

身の周りには青色をはじめいろんな色があふれているため感じていなかったが、自然界では青色は少なく人類がこんなにも苦労して青色を作り出していたことを初めて知った。青に魅せられた人々の探究心や情熱が、さまざまな手法で青色を生み出していく。まだまだ歴史上解明されていない青色もある。「青」から科学、語学、歴史、文化などすべてがつながり、世界は深く大きく広がっていく。知るということはこんなにも喜びに満ちている。

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