『TRUE Colors 境界線の上で』
講談社 2025年
2023年刊行の「ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors」の第2弾。
テーマは同じく「ジェンダーと中学生」 ひこ・田中と、いとうみく以外は初めての作家さん。それぞれおもしろかった。
神戸遥真『To be a Mom』
主人公が疑問を覚えた言葉「生理は将来ママになるために必要なもの」 そうかここで引っ掛かるのかと驚いた。確かに女の子は母親になるものと決めつけられている。自然とそう思わされている。わたしもそれが当たり前だと思ってきたけど、もっと自由に考えていいよね。
蒼沼洋人『三月のグラウンド』
女の子は甲子園に出られない。誰よりも努力し、体を鍛え技術を磨きエースの地位を得た主人公でも、高校野球の世界ではグラウンドに立てない。だが努力を続け、何度でも高野連に働きかけよう。それは未来につながる。いつかかなう。子どもたちにそれを信じさせてほしい。
いとうみく『親友のカレ』
自分の中に差別や偏見があることに気づくのは辛い。でもそれを自覚できたのはいいことだ。「自分のこともわからないのに、他人のことをわかったつもりになるのは傲慢だ、わかったつもりでいるより、わからなくていい」という言葉にハッとする。それでも大事な友だちことはわかりたい、という気持ちは持ち続けていてほしい。
鳥美山貴子『ダイニングテーブル』
あーこれわかるな。どんなに家事分担を決めても、結局気づいた人の負担が大きくなる。それでも少しずつ改善されていくのが良かった。
ひこ・田中『ぼくと、体と。』
痴漢の加害者は男、被害者は女。たしかに普通そう思う。でも主人公は被害にあう。加害者になるのは嫌だけど、被害者になるのはもっと嫌だと彼は気づく。
それぞれの作品で中学生たちが真剣に悩み、気づき、前に進んでいく姿に、胸があつくなる。どうかこの子たちの未来が、より良いものでありますように。
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