『ショコラ・アソート  あの子からの贈りもの』 | 日々の雑記
『ショコラ・アソート  あの子からの贈りもの』

『ショコラ・アソート  あの子からの贈りもの』

『ショコラ・アソート あの子からの贈りもの』 村上雅郁・著 フレーベル館 2024年

著者のこれまでの5つの作品、それぞれの主人公のそばにいたあの子たちの物語。サブキャラクターたちのスピンオフ。

『あの子の秘密』櫻井美咲 ー秘密のゆくえー
『キャンドル』石川瑠璃 ーラピスラズリの初恋ー
『りぼんちゃん』光丘沙希 ーあかずきんちゃんをさがしてー
「きみの話を聞かせてくれよ』くろノラ ーきみがくれた贈りもの
『かなたのif』横田佑実 ーバカナタの言うとおりー

正直沙希のことは記憶になかったので意外だったけど、あとの子たち、特に美咲と佑実はすごく気になってその後を知りたいと思っていた。

けれど美咲の切ない気持ちの行方を見守るつもりだったのが、作者がもう一捻りしてきたので、ちょっと驚いた。作者も美咲のことはずっと気になっていたという。この5年の間に作者の中でここまで深く育った物語だったのか。もう一度『あの子の秘密』を読みたくなった。

佑実は、ひょっとしたらそれぞれの世界の佑実を描くのかと思っていたけど、ここはやはり湖子の方だった。そしてやはりわたしは『かなたのif』がたまらなく好きなのだなとあらためて思った。
だから『かなたのif 』と重複するけど、しつこいけど、湖子の書いた『ドコカの物語』の最後の言葉を記したい。

ー人はみな、だれもが究極的には『ひとりぼっち』で、だれかと、つまり他者と出会いたいと、そう思っている。その願いをかなえる『虹のしずく』は、ようするに、それぞれが人生で出会うもの、すべてなのだ。
だれか、心のそこから大切だと思える存在と出会うことこそ、希望であり、よろこびであり、光であり……。

きっと人はそれを『幸せ』と呼ぶのだろう。

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