劇団四季「ゴースト&レディ」ライブ配信 | 日々の雑記
劇団四季「ゴースト&レディ」ライブ配信

劇団四季「ゴースト&レディ」ライブ配信

「ゴースト&レディ」劇団四季ミュージカル
2024年10月10 日 ライブ配信で視聴

2024年5月6日から始まった東京公演、評判がいいので見たいとは思っていたけど、観劇する体力がまだないので諦めていたら、千秋楽とその前日の公演がライブ配信されるという。これは嬉しい。海外ミュージカルだと版権問題で無理だけど、オリジナル作品だから出来る。万が一のアクシデントに備えて前日の方の配信を視聴。

素晴らしかった!原作漫画を読んでからだいぶ経っていたので、程よく忘れていたこともあり、原作との違いもさほど気にならず、ミュージカルの楽しさを目一杯楽しむことができた。舞台ならではの演出にわくわくし、芝居の熱さに震え、歌の上手さに感動し、クライマックスでは思わず涙がでた。ああ、舞台ってこうなんだよね、何も原作どおりでなくていい、こんな作品に仕上げてくれて感謝しかないよ。舞台オリジナルの設定変更を加えながらも、原作の良さを充分生かした作品になっている。これは原作者の藤田和日郎も嬉しいだろうなあ。曲が全部オリジナルなので、どれかひとつでもいい歌があればと思ってたけど、クリミアへ行く歌「走る雲を追いかけて」とかゴーストとのデュエット「不思議な絆」とか耳に残るメロディがあり、サウンドトラックCDを早速購入。聴きながら舞台を反芻している。

原作との違いは色々ある。まず人の頭の上の生霊がない。これはいいと思う。原作どおりにやったらフローの家族の場面なんて妖怪大戦争、スタンドバトルになってしまう。
逆に付け加えられたのは、婚約者のアレックスとフローに憧れて看護婦に志願するエイミー。また原作と少し違うのがフローの最大の敵ジョン・ホールとゴーストのデオン・ド・ボーモン。どちらも原作では絶対的な悪といった存在で、圧倒的な力の差がありフローもグレイもとても太刀打ちできないと絶望するほど。それがこちらでは人間味があり、悪役というにはややしょぼい。これはワンチャン倒せるかもと思わせる。特にホールは小物感があり、むしろデオンの方が存在感ある。何しろ姿を見せるのが1幕最後の場面で(声だけはしてた)、それまでのフローとグレイの余韻をぶっ飛ばして場をさらってしまうインパクト大。“待たせたな、ラスボス登場”って感じ。デオンさまってばかっこいいのよ。
ホールがフローに「なぜ何の不自由もない裕福な娘がこんな仕事をする?偽善だ。理解できない」って言うけど、これ『サフラジェットの病院』でも思ったけど、裕福だからこそ余裕があるからこそ出来るんだよね。それでもフローほど不屈の精神でそれを全う出来る人はそんなに多くはない。そこがフローの強さ。ホールが原作より弱そうに見えたのが最初は物足りなかったのだけど、フローが彼を打ち負かす強い意志の力を持っていることを表すために、必要な変更だったのかなと思う。

原作で感動したところ。ホールの部下の最期の言葉「命令に従っただけ」にフローが感じた怒り。「命令にただ従ううちに心が麻痺する。これが戦争の本当の恐ろしさ」この言葉全世界の人に聞かせたい!
またフローがホールを撃つ前のコマで、ボブが「…うん いいよ…」と言うんだけど、そこのボブが可愛いくて可愛くて、いいよって何が?と思っていたら、グレイがフローに人殺しをさせないようにするためだったところ。ここでようやく原作では冒頭の部分とつながる。ここの構成の上手さ!

舞台クライマックスでグレイを失ったと思ったフローの叫び「今よ、今なのよー!」原作でもあるこの叫び、舞台での渾身の叫びを聞いた時ボロボロ泣いてしまった。

ラストシーン、グレイがフローの魂を天上に導くときの歌「サムシング・フォー」
「♪〜何かひとつ古いもの 何かひとつ新しいもの 何かひとつ借りたもの 何かひとつ青いもの〜♪」この青いものが青空っていうのいいなあ。
この「サムシング・フォー」原作ではフローの幼い頃母親が教えてくれ、人間だった頃のグレイが恋人に捧げ、そして最後にグレイがフローに歌う。舞台では最初にアレックスが歌い、最後にグレイが歌う。アレックスの存在はこの歌のためだったのかしら。(「サムシング・フォー」は昔「大草原の小さな家シリーズ」で、ローラがアルマンゾと結婚するときに知った)

なんかいろいろありすぎてまとめきれない。でもとても幸せな時間だった。出来れば生の舞台を見たいけど、東京公演はもう終わり、今年名古屋と大阪で公演する。でもこの作品きっとまた再演するだろう。その時に、いつになるか分からないけど、行けるといいな。その前にまたライブ配信あればぜひまた見たい。

ミュージカル版を見て原作を読み返して、これはやはり原作が良いからなんだとあらためて思った。そして舞台制作陣が原作をリスペクトしてくれたから、こんなに良い作品になったんだと思う。これから再演を重ねて、どんどんブラッシュアップしていってほしい。

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