『きつねの橋』『きつねの橋 巻の二うたう鬼』

『きつねの橋』『きつねの橋 巻の二うたう鬼』

『きつねの橋』『きつねの橋 巻の二 うたう鬼』
久保田香里・著 佐竹美保・絵 偕成社 2019年 2021年

久保田香里の平安朝ファンタジー。一旗あげようと故郷から都に出てきて、源頼光の郎党となった平貞道が主人公。手柄を立てようと慣れぬ都で日々頑張っているうちに、色々な人との交流が生まれる。先輩の季武、人に化けるきつねの葉月、葉月が仕える不遇な斎院、まだ幼い後の藤原道長、2巻では渡辺綱も登場する。狐といえば斉藤洋の『白狐魔記』を思い浮かべるが、こちらの狐は女の子の葉月。斎院を守ろうとする姿がいじらしい。
登場人物も歴史上の人物が多く、名前が出てくるたびに、おおこの人をここで登場させるのか、と楽しくなる。史実や伝説を今後どう絡めて話を進めていくのかいろいろ興味深い。平安朝の権力闘争とかリアルに描くと暗くなるが、そこは深く描かれないのでかえってほっとする。

ここからは「朧の森に棲む鬼」と関連した話。
「朧の森に棲む鬼」を見た後に『きつねの橋』を読み始めたのだが、登場人物に同じ名前があって驚いた。
「朧の森に〜」を見た後いろいろ検索して、登場人物の名が源頼光の四天王の名とそれぞれ呼応していることを知った。
渡辺綱  ーツナ
碓井貞光 ーサダミツ
卜部季武 ーウラベ
坂田金時 ーキンタ
源頼光の四天王の中で知ってたのは渡辺綱と坂田金時で、後の2人は検索するまで知らなかった。
そして源頼光はライであり、「朧の森に〜」で四天王とされていたヤスマサは藤原保昌という頼光と並び称された武人らしい。

だから『きつねの橋』の主人公が平貞道と知った時驚いたのだ。貞道は碓井の国から来ている。名前違うけど同じ人?検索したら碓井貞光は「一説に平貞道」という記述があるので、たぶん同じ人だと思う。
そして郎党に平季武がいて彼と仲良くなるのだが、彼も卜部季武と同じ人なのだろう。
その上大盗賊の袴垂(はかまだれ)も出てくるのだが、彼は「朧の森に棲む鬼」のマダレのモデルらしい。
前後して見た(読んだ)作品がこれほどシンクロしていることに驚いた。でも娘に言われて気がついたのだけど、作品を選ぶときは無意識に元々関心のある題材を選ぶから、内容が被るのは当たり前。両方ともわたしの好みの作品だったわけだ。

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