映画「パフィンの小さな島」

映画「パフィンの小さな島」

アニメ映画「パフィンの小さな島」
スタジオ カトゥーン・サルーン制作 
アイルランド・イギリス 2023年
8月12日 OttOにて鑑賞

可愛い絵柄に惹かれて見に行った。デフォルメされているけど鳥も動物も自然も細かいところまで正確で、色が綺麗で動きがスムーズ。とても楽しく見られた。それだけでなく、地球環境、移民など現代社会が抱える問題をしっかり描いていて感心した。

パフィンってあまり聞いたことのない鳥だったけど、ニシツノメドリ、エトピリカ、ツノメドリ、の3種類の総称で、日本では那須どうぶつ王国だけでニシツノメドリが見られるとのこと。どうりで見たことなかった。

物語はトンガリ島というアイルランドの小さな島に、大きな嵐で故郷をなくしたパフィンたちがやって来るところからはじまる。元から暮らしていたパフィンはニシツノメドリで新しく来たパフィンはエトピリカ。よく見ると確かに耳の形やお腹の色が違う。元から島に暮らすウーナたちはやって来たイザベルと仲良く暮らそうとするけど、イザベルは新しい環境にうまく馴染めないでいた。

イザベルたちが住み慣れた故郷を離れざるをえなかったのは、今までなかったような大きな嵐で故郷が破壊されてしまったから。そのことに傷つき新しい島になかなか馴染めないイザベルの姿が、とても丁寧に描かれている。イザベルだって早く慣れてみんなと仲良くしたい気持ちはある。でも今まで幸せだった故郷を大切に懐かしく思う気持ちが強くて、ここで楽しく暮らすことが故郷を忘れしまうことになりそうで、それが辛かったのだろう。無邪気に楽しそうにウーナたちと遊んでいる弟を見ると、もう故郷を忘れてしまったのかと寂しい気持ちにもなったのだろう。両親がイザベルを置いて、故郷のみんなを連れてくるからと行ってしまったことも大きい。家族一緒で新生活をはじめたならまだよかったのだけど、留守をしっかり守って小さい弟の面倒もみなくてはならない。責任感が強いからこそのプレッシャーもあったろう。イザベルがいじらしかった。そして自分が経験した大嵐が来ることを頑張ってみんなに教えようとするのだけど、子どもの言うことはあまり真剣に聞いてもらえない。そのもどかしさ。卵をめぐる行き違いも生まれ、素直に言えばいいのに言えなくてその子どもらしい対処がまた状況を悪くして…と、いやもうイザベルかわいそう。
子どもはまだうまく言葉で状況や思ってることを説明できない。だから大人は根気よく子どもの言いたいことを聞く姿勢が大切なのだが、忙しいと難しく、つい早合点したりしたり後回しにしがちだ。子どもに対する時には気をつけたいことだ。

そういう困難を乗り越えて最後はみんな(パフィンだけでなく島に住む全ての生き物)で協力して嵐をやり過ごし、イザベルの両親も合流し、パフィンの島は平和を取り戻す。見ているこちらも幸せな気持ちになれた。



一つだけ不満だったのはナレーターがしゃべりすぎでうるさかったこと。パフィンの種類とかそこらへんの説明はいいけど、あとはいちいち言わなくても画面見てればわかるよ、と思った。でも子ども向けだから必要だったのかな。

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