ファンフィクション

ファンフィクション

二次創作やコミケというものを知ったのはいつの頃だったか。世の中には絵の上手な人がたくさんいるんだな、と感心していた。最近はwebで見ることが出来るので、チラチラ眺めて楽しんでいた。
この夏はゴスレ(ゴースト&レディ)とトワウォ(トワイライト・ウォリアーズ)のファンフィクがTwitter(現在のX わたし自身はもうほとんどつぶやいていないが、情報収集に使っている)のタイムラインにたくさん流れてきた。それだけファンが多いからだろう。いろいろ眺めて楽しんでいたら、そのせいでますますたくさん流れてくるようになった。最初はゴスレが優勢だったのだが、だんだんトワウォが増えてきて、とうとうリストを作って毎日眺めるようになった。

そして何がどうしてトチ狂ったのか、生まれて初めて二次創作本を買ってしまった。webの連載で気になっていた作品で、完結した時に最初から通して読んで、それで満足していたはずだった。それが薄い本になり通販で手に入ると知り、ちょっと悩んでいたら娘が「もう買っちゃえば?」と背中を押してくれた。
『HESPERUS』(へスペロス)ーそんなタイトルだったのか、と驚いた。てっきり『ぬい洛軍と王九』だと思っていた。
この作品に心惹かれたのは、洛軍が”ぬい“ぬいぐるみだったことだ。何だよそれ?ですよね。でも“ぬい”なんだよ、洛軍がさ。わけわからんけど、ぬいなの。二次創作的に言うと洛王?王洛?なんだろうけど、洛軍がぬいなのでなんというかなんともいえないおかしみがあって、ただ可愛いだけじゃない味わい深さがある。まあただの言い訳ですが。
そしてここが1番いいなと思ったのが、映画本編にちゃんとつながっていること。本編は黒社会ノワールものなので、この作品も洛軍がぬいのくせに、けっこうシリアスな展開になっている。本編では狂犬のような王九だが、Blu-rayで見て、大ボスの扱い方が少し違っていたら、王九の生き方も違っていたろうと思うと、哀れにすら思った。その王九と洛軍の絆が、不穏さを滲ませながら深まっていく。本編でもこんな展開があり得たかもしれないと思うと、切なくなった。ラストで九龍城砦へ向かう洛軍の後姿と、それを見送り高笑いする王九。ラストのコマが、洛軍が城砦に入った報告を受ける信一。うわーここで映画本編に繋がるのか〜完璧だ〜!見事な前日譚ではないですか。

昨日、作者の方がXにおまけとして、洛軍が城砦に入ってからの日々をアップしてくれた。これまた素晴らしいエピソード。居場所が出来た洛軍が屋上で香港の街を見下ろし、王九もまた城砦を見上げる。互いに見えない相手と対峙するラスト。城砦とその上に輝く星を眺める王九の後姿は、薄い本の裏表紙と一緒だった。二人が再びあいまみえるのは盂蘭盆会の最終決戦。その日が来なければいいとさえ思ってしまうよ。

name
email
url
comment

NEW ENTRIES

ファンフィクション(12.28)
クモの巣払い(12.27)
湯たんぽ(12.26)
最後の草取り(12.25)
年賀状(12.24)
またやった(12.23)
全日本選手権終了(12.22)
全日本選手権(12.19)
りゅうほんじさん(12.17)
『バルバラ異界』全4巻(12.16)

RECENT COMMENTS

TAGS

TV ドラマ フィギュアスケート 映画 音楽 絵本 雑記 雑誌 手話 対馬丸 読書 読書会 舞台 漫画

ARCHIVES

LINKS

RSS

RSS