『白さぎ』
セアラ・オーン・ジュエット/作 バーバラ・クーニー/絵 石井桃子/訳 のら書店 2025年
町の暮らしになじめなかった少女シルヴィアは祖母の農場に住むようになり、生き生きと暮らしはじめる。森を行き小川をわたり、木々や小鳥やけものたちに囲まれる幸せな日々。ある日白さぎの巣を探す男性があらわれる。
バーバラ・クーニーの美しい絵、作者の自然の描写の的確さ。特に白さぎを探すためシルヴィアが高い木を登る場面は圧巻。木の上から眺める光景の荘厳なまでの美しさ。この自然の前ではどんなに魅力的な申し出もかなわない。
絵本にしては文字が多いし、内容も大人っぽいと思ったら、元々作者ジュエットが1886年に発表した大人向けの短編小説だということ。
それを1963年にバーバラ・クーニーの絵をつけて、アメリカで絵本として出版された。この時は原文の一部が割愛されていたという。
そして日本ではジュエットの原作を1964年に石井桃子さんが翻訳していた。(集英社の『世界短篇文学全集 13 アメリカ文学/19世紀』)
今回バーバラ・クーニーの絵本に、この石井桃子さんの翻訳(原文の全訳)を用いて刊行された。
巻末には田中潤子さんが作者ジュエット、クーニー、石井桃子さんについての詳しい解説がある。
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