映画「手に魂を込め、歩いてみれば」

映画「手に魂を込め、歩いてみれば」

映画「手に魂を込め、歩いてみれば」

セピデ・ファルシ/監督  2025年 フランス・パレスチナ・イラン

2/6 OttOにて鑑賞

イラン人監督セピデとガザのフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナの2024年4月からの約1年間の通信の記録。

ただ見ることしか出来ず、特に何も言うべき言葉もない。画面上のファトマから目がはなせない。最初の頃の明るく力強く聡明な彼女が次第に疲弊していき「最近集中出来ない」と打ち明ける様子が辛かった。

監督自身がイランの反体制運動で投獄され、故郷を逃れた身である。その監督がガザには入れない状況下で紹介されたのがファトマ。彼女を通してガザの現状が語られる。オンライン通話、写真、動画、メッセージ。監督は彼女が自分にとって“ガザの目”となってくれたと、パンフレットで語っている。その写真も動画も時にファトマ自身の歌声も、どれもとても心を打つ。ファトマが「(撮影の為に)通りに出る時は、手に魂を込める」と言う。出歩くことさえ危険な状況下で、緊張感もあるだろうし、この状況を伝えなければという使命感もあるだろう。それがカメラを持った「手に魂を込める」という言葉にあらわれている。

最初にファトマが自分はあまり英語が得意じゃない(上手くないだったかな?)と言うが、その対策なのか、ファトマの言葉に日本語の他に英語字幕がついていた。彼女の言葉と英語字幕が少し違ってる時もある。通信環境が悪く言葉が途切れることもあり、彼女の言葉を編集の時に補っているのだろう。彼女が監督から‥について(何だったか忘れた)聞かれた時「アラビア語ならいくらでも言えるのに、でも頑張って英語で話してみる」と言っていた。いっぱい話したいことがあるんだろうな。

ファトマとのオンライン通話はスマホ上。そのスマホをさらにスマホで監督が撮影している。
最初のオンライン上の出会いでファトマの明るい聡明そうな笑顔が見えた時、この女性がもうこの世にいないことにたまらなくなった。監督が「あなたはこんな状況でどうしてそんな明るくしていられるの?」と聞くと「あなたも経験するとわかる。慣れだ。もう慣れた」と言う。その言葉もたまらない。生まれてからずっとこんな状況なのだという。通信中もドローンの音、ヘリコプターの音、爆撃音などが聞こえる。彼女が爆撃の音を聞かせてくれたが、暗闇の中の爆撃音に思わず身がすくんで震えた。こんな音を四六時中聞かされ、近所で壊れた建物を見続けていたら、おかしくなりそうだ。
明るい彼女も状況によっては暗い表情も見せる。彼女を心配しても何も出来ない。監督が、自分は安全な場所にいながら、彼女の酷い状況を見ることしか出来ないことを嘆いていたが、それは映画を見ているわたしたちも同じなのだ。
ネット接続環境が不良で時々途切れながら、彼女の顔が映るとほっとする監督。今日も無事で連絡が取れた。そしてついに最後の通信という字幕。カンヌ映画祭に出品が決まったという監督の言葉に歓声を上げるファトマ。その翌日に彼女の家が爆撃され、彼女と家族は殺された。やりきれない思いだけが残る。

エンドロールにガザの写真の作者としてファトマの名前が流れた。パンフレットの彼女の言葉通り、彼女の写真は後世に永遠に残る。

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