『刻印 満州開拓団、黒川村の女性たち』
松原文枝/著 KADOKAWA 2025年
映画「黒川の女たち」の監督松原文枝の著作。内容的には映画と同じだけど、あらためて読むと映画の記憶が甦ってくる。映画を見てから1年以上経って記憶も薄れていたし、映画では描ききれず、アフタートークで話されていたことなども書かれていたので、読んでよかった。
映画と印象が変わったのは、この事実の公表を反対し続けた男性についてだ。映画ではその理由を「可哀想だ」と言っていて、それは保身のためとしか思えず「何を勝手なことを」と腹立たしく思っていた。しかし当時まだ少年だった彼もまた、心に深い傷を負っていたのかもしれないと思い直した。「可哀想」という言葉が、本当に女性たちのことを思う心から出たもののように感じられたのだ。
許せないのは、女性たちを性接待に差し出しておきながら、帰国後に「お前たちいいことしたでいいじゃないか」と嘲笑した開拓団幹部の男性たちだ。責任も問われず、謝罪するどころか率先して差別する。この理不尽な社会は今もずっと続いている。
現在も性被害を受け声を上げた被害者の方が、非難され差別され苦しい思いをしている。さらに刻々と戦争へ近づいているような社会情勢。黒川の女性たちのことは昔のことではなく、今現在の私たちに通じる。
苦しいなか声を上げ続けた女性たちの勇気に心が震えた。わたしもそれに応えていかなければと強く思った。
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