「リチャード三世」と映画「ずっとお城で暮らしてる」

「リチャード三世」と映画「ずっとお城で暮らしてる」

娘が、映画「ずっとお城で暮らしてる」の冒頭で、メリキャットが「リチャード三世」の朗読レコードを聞いているシーンがあった、と言い出した。
シャーリー・ジャクソンの原作を2019年に映画化したもので、2021年にWOWOWで放送があった時に見て、感想をツイッターに投稿していたのを、偶然見つけて思い出したのだという。わたしもこの映画見ていたのけど、そんな場面覚えていなかった。
幸い録画したものをBlu-rayにコピーしてあったので、冒頭の部分を見てみた。おお〜たしかにレコードから流れてくる声は『リチャード三世』のセリフだ!第1幕第3場、クラレンスにさし向ける殺し屋たちと話す場面の前のリチャードの独白だ。これは原作にはない場面だけど、原作の冒頭でメリキャットが自分の好きなものとして3つ、姉、リチャード・プランタジネット、毒キノコの順に挙げている。このリチャードはリチャード三世の父ヨーク公のことなので、原作ではリチャード三世本人が好きという記述はない。でも父と息子だし、メリキャットが聞くのにこのセリフは何かふさわしい気がする。この部分を使おうと思ったのは演出家か脚本家か、いずれにしても製作陣はメリキャットに似合うと思ったのだろうなあ。

思いがけないつながりを見つけて、こういうことがとても楽しい。

写真は原作本。
『ずっとお城で暮らしてる』
シャーリィ・ジャクソン/著 市田泉/訳 創元推理文庫 2007年
『新訳 リチャード三世』

『新訳 リチャード三世』

『新訳 リチャード三世』
シェイクスピア/著 河合祥一郎/訳 角川文庫 2007年

ちくま文庫の松岡和子役を読んでから、あらためて再読。やっぱり訳がかっこいい。原文のリズムにこだわり声に出しながら訳した(訳者あとがきより)そうで、これは目で読むより耳で聞きたくなる。わざわざタイトルに「新訳」と付けているのが、訳者のこだわりと自負が感じられる。

読書会でも話題になったのだが、わたしたちには唐突に思える出来事も、当時の観客にとっては周知の事実なので詳しい説明が省かれている。だから『ヘンリー六世』を先に読んでいた方がその続編として理解できる。読むのに苦労したが、やはり読んでよかった。

『ヘンリー六世』でも思ったけど、次々と起こる出来事が必ずしも正確な時代順になっているわけではない。まるでヘンリー六世の死とクラレンスの死とエドワード四世の死が同時期に起こっているのかと思うが、実際には何年間にもわたってる。ヘンリー六世とエドワード皇太子の死は1971年、クラレンスの死は1478年、エドワード四世の死は1481年。観客には出来事を並べて見せていればそれで通じるので問題ないのだろう。またシェイクスピアの推定執筆年代では初期の作品らしいので、まだ作品としての完成度が後期のよりも高くないのかもしれない。そして戯曲は実際に舞台で演じられてこそ完成するのだろう。機会があればぜひ実際の舞台を見て見たいと思った。

この『リチャード三世』については、他に読んだりみたり調べることが次々出てきて、大変だったけれどとても楽しかった。白水Uブックス版の巻末の「薔薇戦争関係系図」を拡大コピーして常に側に置き、在位年や生没年を書き込みながら読んだ。何度も繰り返して見ているうちに、ややこしかった系図がだんだん面白くなってきた。フランスに逃れたドーセット侯の子孫がジェーン・グレイ(ヘンリー八世の妹の孫でもある)ということもあり、漫画『セシルの女王』との関連に思いを馳せたり、ランカスター公ジョン・オブ・ゴーストの2番目の妻がカスティリア王ドン・ペドロの娘である『アルカサルー王城』の外伝「公爵夫人の記」を読み直したりした。またアル・パチーノの映画「リチャードを探して」を再見して、このキャストで全編撮られた映画を見たかったなあと思った。アル・パチーノのリチャード三世、似合ってたから。
11月のクルクマ

11月のクルクマ

球根を植えてからもう半年が過ぎた。
発芽も花芽がつくのも遅かったせいか、夏の花のはずなのにこの季節にまだ咲いている。さすがに葉っぱは黄ばみ始めているし、花(苞)も色褪せてきている。それでもこの中では遅く咲いたピンクは1ヶ月経つけどまだまだきれい。最初に咲いた白の株の3番花もまだ元気。
しかし来週あたりから最低気温が10度を切ってくるらしいので、そろそろ終わりかな。日中の気温がまだ20度近くあるので、なんとか頑張って少しでも長く咲いていてほしい。
『リチャード三世』ちくま文庫版

『リチャード三世』ちくま文庫版

『リチャード三世』 シェイクスピア全集7
松岡和子/訳 ちくま文庫 1999年

読書会のテキストは角川文庫版だけれど、以前購入していたこちらも読んでみた。角川版だと朗読で聞きたいなと思うけど、それよりくだけた感じで、意味はこちらの方がわかりやすい。
前に『ヘンリー六世』を読んでいたので、これまでの流れがわかっていて人物も誰?と迷うこともなかった。
角川版と元にしたテキストが違うのでところどころ違っているが、それについては両方とも詳しく注で説明してある。
また「史実では違う」という注がいくつもあり、あらためてこれは歴史書ではなく創作なのだということがわかる。

リチャード三世の「極悪非道」なイメージは、この作品が書かれた当時既に流布していたそうだが、それを決定づけたのがこの作品らしい。ジョセフィン・ティ『時の娘』でもそういう記述があった。

巻末の解説で、ヘンリー七世の貧弱な王位継承権の正当性を補うため、ことさらリチャード三世を悪人に仕立て上げる必要があった、とある。ああ、なるほど。確かに『ヘンリー六世』を読み、系図を見てると、ヨーク派とランカスター派のそれぞれの後継者たちの血筋にはたいして差はないけど、ヘンリー七世だけは弱い。リチャード三世の父親はエドワード三世の3男と5男の血筋だし、さらに母親は4男の血筋だ。ヘンリー七世ははかろうじて母親だけが3男の血筋だ。王位簒奪者と呼ばれないとも限らない。プランタジネット朝からチューダー朝へと代替わりして、その正当性を広く世間に訴える必要があったのだろう。その犠牲になったのがリチャード三世。なんかかわいそう。
でも汚名は着せられても、その名は作品とともに後世まで残り、魅力的な悪党ぶりは世界中で上演され続けている。
シェイクスピアってやっぱりすごい。
冬支度

冬支度

昨夜から冷えてきて、スリッパを冬用に替え、掛け布団を重ねて寝た。
朝の気温が20度を切っていた。いよいよ冬到来。今日は衣装ケースの中身の前後を入れ替えよう。パジャマは先日済ませて既に冬用のネルのパジャマを着ている。あたたかい。

外の気温は10度を切っている。クルクマはまだ頑張って咲いてるけど、いよいよ終わりかな。淋しいけど、今までありがとう。
『刻印 満州開拓団、黒川村の女性たち』

『刻印 満州開拓団、黒川村の女性たち』

『刻印 満州開拓団、黒川村の女性たち』
松原文枝/著 KADOKAWA 2025年

映画「黒川の女たち」の監督松原文枝の著作。内容的には映画と同じだけど、あらためて読むと映画の記憶が甦ってくる。映画を見てから1年以上経って記憶も薄れていたし、映画では描ききれず、アフタートークで話されていたことなども書かれていたので、読んでよかった。
映画と印象が変わったのは、この事実の公表を反対し続けた男性についてだ。映画ではその理由を「可哀想だ」と言っていて、それは保身のためとしか思えず「何を勝手なことを」と腹立たしく思っていた。しかし当時まだ少年だった彼もまた、心に深い傷を負っていたのかもしれないと思い直した。「可哀想」という言葉が、本当に女性たちのことを思う心から出たもののように感じられたのだ。

許せないのは、女性たちを性接待に差し出しておきながら、帰国後に「お前たちいいことしたでいいじゃないか」と嘲笑した開拓団幹部の男性たちだ。責任も問われず、謝罪するどころか率先して差別する。この理不尽な社会は今もずっと続いている。
現在も性被害を受け声を上げた被害者の方が、非難され差別され苦しい思いをしている。さらに刻々と戦争へ近づいているような社会情勢。黒川の女性たちのことは昔のことではなく、今現在の私たちに通じる。
苦しいなか声を上げ続けた女性たちの勇気に心が震えた。わたしもそれに応えていかなければと強く思った。
『ヘンリー六世』全三部

『ヘンリー六世』全三部

『ヘンリー六世』第一部 第二部 第三部
ウィリアム・シェイクスピア/著 小田島雄志/訳 白水社(白水社Uブックス)1983年

『新訳リチャード三世』(角川文庫 河合祥一郎・訳)を読んだ時、訳者のあとがきで『ヘンリー六世』の中でかなりリチャードについての記述があるというので、興味が出てきて読んでみた。

登場人物の多さとその関係の複雑さに頭を抱えた。次から次へと同じような名前の人物が出てきては、喋りまくって退場していく。以前コピーしておいた巻末の「薔薇戦争関係系図」をそばに置いて、いちいち参照しながら読んだ。それでもすぐ「あれ?これ誰だっけ?」となって、また参照しなければならず、もういい加減やめたくなった。だいたい名前でなく爵位で呼ばれているし、その爵位も◯代目によって違う人なのに同じ呼び名だし、一体お前は誰なんだ?!と叫びたくなる。イギリスの人たちってこれで誰が誰かわかるのか?本当に?それに気を取られて起きている出来事が頭に入ってこない。セリフだけで進んでいくから何が起こっているか理解する前に話が進んでいく。戯曲はやはり実際の舞台を見た方が分かりやすいのだろうなあ。

それでも読んでみて薔薇戦争のだいたいの流れがわかったので、やっぱり読んで良かったとは思う。

登場人物みんな好き勝手に喋りまくり、泣いたり喚いたり、裏切ったり裏切られたり、勝ったり負けたり、まあ忙しいこと。王国というスケールのデカさはあるが、所詮は身内の跡目争いに過ぎないのに、なんとも傍迷惑なこと。振り回される国民が気の毒だ。戦闘で死ぬのはまだしも謀略で死んだりいたぶられて死んだり、なんとも後味が悪い。あんたらいい加減にしろよと言いたい。

まあこれだけ凄まじい身内の争いがあった末に、悲願の王位についたヨーク家なので、『リチャード三世』の冒頭、リチャードがいう長い台詞、長い冬が去って我らの時代が来た、という言葉が実感を持つ。

印象に残ったこといくつか。

第一部ではジャンヌ・ダルクの扱いが、ちょっとひどい。なんか下品で口が悪いし、イギリス側からみたら魔女にして貶めたいのだろうけど、これが当時の認識だったのかな。
第一部の最後でマーガレットが登場して、サフォーク伯が彼女に惚れて自分のそばにおきたいからヘンリー六世と結婚させるという、え?そんな理由で?と驚いた。
でも第三部ではエドワード四世がエリザベス・グレイに惚れて、せっかくフランス王の妹との婚儀が決まっていたのを反故にして、そのせいでウォリック伯の面子を潰して離反させてしまうし、もう〜みんな恋愛沙汰で国が動きすぎるんですけど。

第二部では第一部では可憐に見えていたマーガレットが(これは私の読み方が浅いせいかも、元からそんな感じだったのかもしれないけど)、可憐どころか烈女ぶりを発揮する。なにしろ優柔不断で戦さに消極的なヘンリーにとって代わり、自分がランカスター軍の指揮を取るのだ。もともと第一部で出会ったサフォークの方をヘンリー六世より好ましく思っていて、サフォークが死んだ時は彼の首を抱えて嘆き悲しむ。それをみたヘンリーは「私が死んでもそんなに悲しまないだろう」と言う。なんか気の毒。そしてマーガレットのすごいところは第三部で、ヨーク公リチャード・プランタジネットをいたぶり殺すところ。よくこれでヨーク側が国王になった時殺されなかったな。『リチャード三世』でも呪いの言葉を撒き散らす魔女のような存在感を見せていた。

第二部でリチャード・プランタジネットが、自分たちの方がランカスターより正当な王位継承権を持つと説明していて、この理屈が「ランカスターは4男の血筋、自分たちは父は5男だが母が3男の血筋」というもの。これが本当に確かな正当性を持つものなのか?後のヘンリー七世であるリッチモンド伯と比べたら確かにそうだけど、ヘンリー六世まではヨークもランカスターもそれほど大差ないと思うけど。
当時のイギリスではこの認識が一般的だったのかどうかはわからないけど、ある程度共通認識だったからシェイクスピアも作品に書いたのかなと思う。

読むのに苦労したけど、でもこれを『リチャード三世』の前日譚として頭に入れて、『リチャード三世』の再読に挑もうと思う。
生協のコーヒー

生協のコーヒー

以前はコーヒー豆を買ってきて自宅でミルを使って豆をひいて淹れていた。それがだんだん既にひいてある豆を買ってくるようになり、最近では手軽なドリップバッグを使っている。
生協のカタログでいくつか種類があるので一応全部試してみて、キリマンジャロブレンドとモカブレンドに落ち着いた。モカは昔から好きで結婚前はモカが定番だった。その頃はキリマンジャロは香りも味も強過ぎて苦手だった。
それが生協のを試してみたら、モカよりは強いがその強さがあまり鋭くなくて、キリッとスッキリした刺激がとても美味しく感じられた。これは朝飲むのにちょうどいいと思い、それ以来朝にキリマンジャロ、午後にモカを飲んでいる。
先日うっかりキリマンジャロの注文を忘れていて、10日ほどキリマンジャロが飲めなかった。今週ようやく届いたキリマンジャロを飲んでみたら驚くほど美味しかった。思わずもう一杯おかわりしてしまったほど。
体調によりキリマンジャロではきつく感じるのでモカにする時も、コーヒーそのものが飲めない日もある。キリマンジャロがおいしく飲める今は、ありがたいことに体調がいいのだろう。

生協のコーヒーもだんだん値上がりして、以前は50パック入りだったのに今は40パックに減り、その上値段は5割くらい上がった。そのうちまた値上がりするかもしれない。商品そのものが無くなる可能性だってある。値上がりはなんとか耐えるけど、無くならないでほしい。
クルクマの花

クルクマの花

クルクマの花は苞の間に小さく咲いていて、1日でしぼんでしまう。
白い苞には青紫の花、赤とツートンカラーの苞にはオレンジの花、ピンクの苞にはクリーム色の花が咲いた。トレニアのような形。これが次々咲いてくる。最初の白い苞が出てからもう2ヶ月たって、夏の花のはずなのにもう秋になってしまった。

NEW ENTRIES

「リチャード三世」と映画「ずっとお城で暮らしてる」(11.04)
『新訳 リチャード三世』(11.04)
11月のクルクマ(11.02)
『リチャード三世』ちくま文庫版(10.30)
冬支度(10.29)
『刻印 満州開拓団、黒川村の女性たち』(10.28)
『ヘンリー六世』全三部(10.28)
生協のコーヒー(10.23)
クルクマ 上から眺める(10.20)
クルクマの花(10.20)

RECENT COMMENTS

TAGS

NTL TV りんご アニメ コンサート ゴースト&レディ シェイクスピア ドラマ ニュージーランド パレスチナ フィギュアスケート ミュージカル リチャード三世 映画 音楽 花 絵本 講演 雑記 雑誌 手話 対馬丸 読書 読書会 配信 舞台 本 漫画

ARCHIVES

LINKS

RSS

RSS