『ふたりのスケーター』 | 日々の雑記
『ふたりのスケーター』

『ふたりのスケーター』

『ふたりのスケーター』ノエル・ストレトフィールド・著 中村妙子・訳 教文館 2017年

第2次世界大戦前の英国。健康回復のためフィギュアスケートをはじめたハリエットと、父親が有名なスケーターで3歳から英才教育を受けていたララ。対照的な2人の出会いと友情、成長が描かれる。

生い立ちも家庭環境もまるで違うふたり。
裕福ではないが、両親兄弟に囲まれて愛情たっぷりに育ったハリエット。真面目に練習に取り組み上達してくると、スケーターを目指したいと思うようになる。
両親を事故で亡くし叔母に引き取られたララ。叔母は兄の忘れ形見のララを、兄と同じスケーターにすることに情熱を傾けている。そのためララの毎日はスケートの上達が目標の全てで、細かくスケジュールを組まれている。これは一種の虐待だと思うのだけれど、誰も正面きって叔母に意見できない。ララもそれに疑問を持っていない。それは周囲の期待と称賛を浴びるのが気持ちよいからなのだが、ちょっと天狗になり練習を怠けがちになる。

ハリエットと関わることで、周囲の大人も少しずつララの環境を変えようとする。叔母に遠慮してなかなかスムーズに進まないのがもどかしいが、叔母も完全な悪人ではないのでそれは仕方ない。ララが自分が本当にやりたい事に気づき、そのための努力を続けることを決心できて本当によかった。

主人公のふたりだけでなく、家族と周囲の人々も丁寧に描かれていて、子どもを幸せにするために大人たちが働きかける姿にほっとする。ゆったりした古き良き時代の雰囲気も心地よい。今ならもっと問題になるのではという部分もあるし、そこが物足りないと感じながらも、だからこそ愛おしいと思う。現実の酷さに疲れている今こういう作品に出会えてよかった。

もしかしたら『バレエシューズ』と同じように、この作品も抄訳なのかもしれないとちょっと思った。
 

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