映画「ナースコール

映画「ナースコール

映画「ナースコール」
ペトラ・フォルぺ/監督・脚本 2025年 スイス・ドイツ

5/9 OttOにて鑑賞

スイスのある州立病院のある1日。その日の遅番の看護師フロリアの出勤から退勤までの話。出勤直後から息つくひまもない彼女の仕事振りを追っていくので、見終わってからどっと疲れた。
これは世界中で深刻な問題なのだろうが、とにかく人手不足で看護師一人一人の負担が大変重い。その上この日は同僚の1人が病欠のため、26人の入院患者を2人の看護師で受け持つことになる。これを聞いただけで気が遠くなるが、フロリアは手際よくこなしていく。病室を巡回し適切な処置をして、患者の話には誠実に耳を傾け、無理な要求は笑顔で交わし、時には外線の電話にも出て対応し、ナースコールにも応える。手術室や検査室への送迎も何回もある。
次から次へと通常業務をこなす他に、緊急業務も飛び込んできてそれにも対応する。よく混乱しないなと感心するが、さすがに彼女もだんだん疲れが見えてきて、最初見せていた笑顔も見られなくなる。
わたしは患者として、また患者の家族としてしか病院業務を知らないけど、映画の初めからずっと彼女と一緒に看護師の仕事をこなしているような気になった。でも彼女の手早くテキパキこなす様子は、手際の悪いわたしとはテンポが合わず(実際に仕事してるわけじゃないのにオタオタしてしまった)それもあってとても疲れた。
そもそもこんな膨大な仕事を、ギリギリの人員でこなしていることが問題だ。映画の最後に看護師が足りないことがテロップで出るが、これを解消するには看護師の待遇改善しかないのではないか。看護師は体力が必要だし精神的にもタフでないと務まらない、とつくづく思った。
それなのに患者からは文句ばかり言われて報われない。それでも時々はホッとするふれあいの機会もある。またすぐ業務に戻らなけばならないので、ほんのひとときではあるが、それが息抜きになっているのだろう。フロリアのロッカーに患者からの手紙だろうか、感謝の言葉が貼り付けてあって、こういうちょっとしたことが、彼女の慰めと励みになっているんだなと思った。映画のラストの少しファンタジーっぽい画面は、フロリアに対するささやかなご褒美のような気がした。

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