エリザベート 宝塚歌劇 雪組公演(1996年3月) | 日々の雑記
エリザベート 宝塚歌劇 雪組公演(1996年3月)

エリザベート 宝塚歌劇 雪組公演(1996年3月)

それまでウィーン版をさんざんDVD鑑賞していて、実際に舞台を観たい、でもこのDVDの舞台はもう観られないんだと(2005年の舞台映像であり、もう現在はウィーンでもこのキャストこの劇場での公演は無いので)悲しんでいた。なら日本版はどうなんだろうとふと興味がわいて、初めての宝塚のDVD を購入。どの組の公演にするか迷ったけど、結局日本で初めて上演された記念すべき雪組公演にした。
もう日本版はこれが決定版じゃないかと思った。最初観た時より、東宝版を観劇した後に、より強くそう思った。
宝塚版はトップ男役を主役にする為に、とにかくトートの出番が多い。え?ここにトート出てくるの?と驚くほど。というか笑える(エルマーたちに「奇遇です」なんて言うところとかさ)。一路真輝のトートはとにかく美しく、冷たい美貌が冴え渡る。だから本来トートは「死」という概念であるので、両性具有的な彼女がぴったりだった。花總まりのシシィも可憐で美しく、高嶺ふぶきのフランツ・ヨーゼフは初々しい(特にシシィにプロポーズした時の「急過ぎたね」と照れる姿がかわいい)。そして何といっても轟悠のルキーニ!ウィーン版でのセルカン・カヤがわたしのルキーニの基本なので、正直たぶん誰がやっても満足しないだろうと思ってた。そして帝劇での東宝版の時はやはりそう思った。しかし轟悠はセルカンには及ばないまでも、かなりいいセンいってたと思う。単体でのルキーニではなく、この宝塚版でのルキーニだからだとは思うが。
とにかく作品全体としてとてもうまく宝塚風にアレンジしてあり、これはこれでとてもいいと思った。「エリザベート」というミュージカルが優れているからだろうなあ。
東宝版を観た時、まずトートのビジュアルが宝塚版を踏襲していて、やたらと耽美でそこがなんだかなあと思った。あれは宝塚だからいいのであって、男性が演じるならもう少し耽美風味を減らしてくれよ。あのビジュアルは城田優には合ってたけど。それとトートダンサーズもやたらとクネクネしてて、なんでウィーン版のように出来ないのかなあ。これだったら宝塚の黒天使の方がいいよ、と思ってしまう。
宝塚版で不満なのは「キッチュ」これはウィーン版準拠の東宝版の方がいい。だいたい日本版はどちらもルキーニの歌を削ってるのが一番不満だけどね。
でも東宝版がこの演出でこれからも続けるなら、わたしは宝塚の方が好きだ。ウィーン版にもっと寄せてくれるなら、また観たいけど。
最後に、宝塚版で一番驚いたのが、ラストシーンの余韻も醒めぬうちにショーが始まったこと。普通の観劇なら拍手の中カーテンコールが始まるのに、そこでいきなり銀橋で高嶺ふぶきが満面の笑みでクルリと振り返り、「愛と死のロンド」を歌い出したのだ。え?それあなたが歌うの?あなたフランツ・ヨーゼフだよね?それトートの歌だよ?と戸惑うこちらに関係なくショーはどんどん続く。あれよあれよというまにフィナーレ。特大の羽を背負ったトップスター一路真輝が大階段を降りてくる。そうか、これが宝塚。お芝居の後のショーまでが公演なのね。もれなくこのショーがついてくるのね。ショーが始まった時から、それぞれ本編の役名はなくなり1スター(宝塚では生徒という)としてショーに臨むのね。ようやく宝塚の公演の仕組みがわかった。そういうものだと分かればその心づもりで観るわと覚悟が出来た。
でもやはりもう少し本編の余韻に浸っていたかったけど(本音)。
キャストでは、ルドルフの香寿たつき、子ルドルフの安蘭けい、エルマーの和央ようかと後のトップスターが揃ってて見応えあった。今はみんな(轟悠を除いて)退団してるんだなあ。

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