『ジャック・デロシュの日記ー隠されたホロコースト』

『ジャック・デロシュの日記ー隠されたホロコースト』

『ジャック・デロシュの日記ー隠されたホロコースト』
ジャン・モラ/作 横川晶子/訳 岩崎書店 2007年

摂食障害の少女エマは、病床の祖母が夢うつつに叫んだ言葉を聞く。だが目覚めた祖母は何も話してくれず、謎の言葉だけが残る。
「ジャックって誰?」「ソビブルって?」
やがて亡くなった祖母の部屋からジャックの日記を見つけたエマは、恐ろしい事実を知る。

タイトルからわかる通りホロコーストの話。敬愛する身内がその加害者であったことを知った時、どうすればいいのだろうか。受け止めきれず悩むのは当然だ。封印するのか告発するのか。重い作品だった。

日記部分と、エマの部分とに分かれているが、時系列で並んでいないのでちょっと混乱する。最初はすでに日記を読んでしまったエマの描写で、日記を挟みながらそれ以前のエマの様子に戻る。拒食症になるきっかけから、どんどん痩せていく様子はリアルで痛々しい。しかしエマが摂食障害であることが、この物語に必要なことなのかがどうもよくわからず、戸惑っている。

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