映画「落下の解剖学」 | 日々の雑記
映画「落下の解剖学」

映画「落下の解剖学」

「落下の解剖学」フランス 2023年(日本公開2024年)
WOWOW放送を録画で視聴。
一気に見ようと思っていたけど、そろそろクライマックスかと思っていたらまだ半分過ぎたくらいだったので、とても気力が続かず2日に分けて見た。
登場人物の話す言語が、英語だったりフランス語だったりで、最初混乱した。状況を理解するのもとても大変だった。少しずつ分かってはくるものの、何かすっきりせず肝心な部分が曖昧なまま進んでいくのでとても疲れた。そして最後まで曖昧なままだった。

少しずつわかっていったことに加えて、夫の録音した夫婦喧嘩で状況があらためてわかってきた。この喧嘩の場面は凄かった。妻はドイツ人の作家、夫はフランス人の教師、2人は英語で会話している。以前はイギリスに暮らしていたが、今はフランスで暮らす。息子は事故のため視覚障害がある。夫婦の間に埋めがたい溝があること。等々。

突然の夫の死。何があったのか。妻が殺人罪に問われ裁判がはじまる。執拗な検察側の追及に妻は苦手なフランス語で答える。これはとても不利だ。途中から英語に切り替わったのはよかった。
この裁判の場面はわたしが被告だったらとても耐えられない。何回か聞かれて、最初と違う発言をしてしまうことは誰だってある。そこを指摘され責められたら慌ててまた違うことを口走ることだってある。検察の印象操作を強く感じるが、弁護士が言ったように真実かどうかより、世間にどう見えるかが肝心なのだ。裁判って真実を解明することではないのか、と愕然とした。裁判って何だろう。

物的証拠がなく、全て状況証拠だけ。検察も弁護団も証人も、みんな推測でしか語らない。どうせ全ては推測で検察は妻の有罪を導き、弁護側は無罪に持っていきたい。ならば結局は息子の幸せを考えること、息子の希望を叶えることが、1番いい落ち着き方なのではないだろうか。その息子は母親の無罪を望んだ。

検察が、それは君の推測でしかない、と批判した時、彼は「全てがはっきりしてないのなら、自分で考えるしかない」(正確にこう言ったのではないけど)と答えた。これは検察や裁判官に対して強烈な言葉だったと思う。検察も推測だけで妻が有罪だと考えた。では推測だけで無罪と考えても同じことではないか。

結局肝心なことは何もわからず終わる。すっきりしないしとても疲れた。こんな映画もあるんだな。
妻も息子も俳優の演技はとても良かった。妻を演じた人は「関心領域」でも見たけど、すごく上手い人なんだな。

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