『カルディコット・プレイスの子どもたち』 | 日々の雑記
『カルディコット・プレイスの子どもたち』

『カルディコット・プレイスの子どもたち』

『カルディコット・プレイスの子どもたち』 ノエル・ストレトフィールド・著 尾崎愛子・訳 偕成社 2025年

1960年代のロンドン郊外に住むジョンストン一家。平和な生活が父親の事故で一変する。
父親の入院が長引き収入も途絶え、これからの生活への不安に直面する家族。母親と3人の子どもたち、それぞれ年齢や性格や立場による感じ方の違いがとても丁寧に描かれている。
思いがけず末っ子が相続した田舎の古い屋敷<カルディコット・プレイス>に、父親の療養のため移り住み、さらに事情ある3人の子どもたちを預かることになる。慣れない田舎のお屋敷で大人数での暮らしが始まる。
最初は家族、お屋敷に移り住んでからは他の子どもや大人たち、登場人物が一気に増えるが、その1人1人がそれぞれきちんと描かれているのでわかりやすく混乱もしない。
大人の事情や思惑、子どもたちの心情、思いのすれ違い、衝突と和解。それらを繰り返しながら新しい環境での暮らしになじみ、新しい家族とのつながりを深めていく。
決していい子ちゃんばかりではないけど、そこがリアルで子どもにとっては一大事だよね、と共感することも多い。大人たちもそれぞれの立場があり、節度ある接し方に好感が持てるし、基本みんないい人なので読んでいて気持ちがいい。著者の他の作品同様あたたかくほっとする作品だった。疲れた心にはしみじみ響いた。

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