「違法」という言葉 | 日々の雑記
「違法」という言葉

「違法」という言葉

映画「ノー・アザー・ランド」で井戸を埋めるイスラエル兵士が「どうしてこんなことを?!」と詰られ、「違法だから」と言う場面があった。その言葉にハッとした。
「違法」という言葉に正当性を認めてしまう自分がいる。違法や不法という言葉につい犯罪性を感じてしまう。

かって不法滞在の家族が国外退去を求められ、それに反対する運動のニュースがあった時「だって不法滞在なんだから仕方ない」と思っていた。不服なら正式に滞在資格を得ればいいことなのに、とさえ思っていた。イスラエルの兵士たちの言い分と変わらない。
この国の移民政策と入管制度がどんなものか知らなかったのだ。難民申請が認められずやむを得ず不法滞在者となってしまう人の存在を知ったのは、恥ずかしいが最近のこと、『やさしい猫』などの本、ネットやニュースなどからだ。こんな理不尽なことがあるのかと驚き憤った。

昨年映画「マイスモールランド」をWOWOWで見た。その中で難民申請が通らず在留資格を失ったクルド人家族の目の前で、在留証明書を鋏で切り裂く場面があった。証明書を取り上げたらそのまま持ち去り廃棄すればいいのに、わざわざ彼らの目の前で見せつけるように切り刻むのだ。お前らにはもうなんの権利もないんだぞ、と思い知らせるために、いたぶるように。わざとなのだろう。人の尊厳を奪い、気力を削ぎ、日本で暮らすことを諦めさせる為に。

パレスチナにおけるイスラエルの蛮行と何ら変わらない。「ここはお前らが住む場所じゃない。嫌なら出て行け」そう言いたいのだろう。

5月23日に出入国在留管理庁から
ー「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」についてー
という発表があった。
国民を守るという大義名分でルールを守らない外国人(どういう基準で選別するのか?)排除を堂々とうたっている。暗澹たる気持ちになる。

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