映画「ただ、やるべきことを」

映画「ただ、やるべきことを」

映画「ただ、やるべきことを」
パク・ホンジュン/監督・脚本 2023年 韓国

5/20 OttOにて鑑賞

2016年、韓国では造船業界が深刻な不況に陥っていた。会社で人事チームに異動となったカン・ジュニは、150人を解雇するリストラ名簿作成を命じられる。対象者を絞り込むうちに、世話になった以前の上司と先輩のどちらかを選ばなければならなくなる。

リストラ対象者の辛さはもちろんだけど、この映画ではそれを選ぶ仕事の辛さを描いていて、とにかく見ていてやり切れなくなった。全ては会社の都合で進んでいく理不尽さ。上層部は下に丸投げして、苦しむのは人事チームと対象者だけ。
チームリーダーは「会社を建て直すためには、新しい血が必要」と言い、カンもやり切れない思いを抱きながら、でも会社のためと自分に言い聞かせ作業を進めていく。それなのにせっかく作ったリストから「この人は除外し、その代わりに他の人を選べ」と命令される。その理不尽さにも耐え粛々と進め、ようやく150人まであと数十人というところまできたところで、今度は外聞が悪くなるのでここで打ち止めにすると言われる。それを聞かされたリーダーは「だから会社が病むんです」と吐き捨てるように言って出ていく。その前に彼は親しい先輩に、それこそ血を吐くような思いでリストラを告げていたから。このリーダーが夜もろくに寝ていない疲れ切った顔をしていて、このあと倒れないか最悪自殺でもしないかと心配になった。

主人公が爆発して会社を辞めるとか、仲間を募って会社に対抗していくとか、そういうドラマチックな展開にはならない。ただひたすらこの辛い作業を追っていく。だからまったくスッキリはしない。でも会社が続いていく限り、社員はやるべきことをやっていくしかない。そこがとてもリアリティがあった。

カンの婚約者が学生時代の先輩に「こいつのどこが良かったんだ」と聞かれて、「この人は間違ったとき、ちゃんと恥じることができる人だから」と言う場面があった。そのことが終盤カンが彼女に「自分のやっていることが恥ずかしくて言えなかった」と告白することと対応していた。言えなかったために彼女との仲がギクシャクすることもあったが、最終的には仲直りできてよかった。

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