『愛蔵版<古典部>シリーズT』ー氷菓・愚者のエンドロールー

『愛蔵版<古典部>シリーズT』ー氷菓・愚者のエンドロールー

『愛蔵版<古典部>シリーズT』 米澤穂信・著 角川書店 2023年
「氷菓」と「愚者のエンドロール」の他に短編2編を加えた愛蔵版の第1巻。

最初に『氷菓』を読む時に、ついでに2作目も入ってる愛蔵版を借りようとして、貸出中だったので予約しておいた。肝心の『氷菓』はもう文庫で読んでしまい、その時はもう他の作品は読まなくていいやと思い、予約キャンセルするつもりだった。ところが思いがけず高校時代の思い出に引きずられ、このシリーズがなんとなく気になるようになっていった。先に読んだ愛蔵版の第3巻の「いまさら翼といわれても」が良かったので、こちらもやっぱり読んでみようかとキャンセルせずに借りてきた。

『愚者のエンドロール』初刊: 2002年 角川スニーカー文庫
『氷菓』の時に感じた読みにくさは感じなかった。むしろ読みやすくてすいすい読めた。そしてとてもおもしろかった。これは題材が文化祭だったからだろう。わたしの思い出スイッチがまたまた入ってしまった。
文化祭でのあるクラスの映画制作をめぐるミステリー。最初に懐かしいチャット画面で話が進んでいく。まだこの時点では誰と誰の会話かわからないが、最後にもう一度チャット画面が来て、ここで誰なのかが分かる。この構成はおもしろかった。この作品の発表当時(2002年)ネットはこんな状況だったかと懐かしくなる。登場人物にもだいぶ慣れてきて、高校生ってこんなだったかなあ、と前作で感じていた苛立ちも少なくなっていた。

文化祭での映画制作という点で、これまた高校時代の思い出が甦る。3年生の時うちのクラスやたらと張り切って、喫茶店と縁日っぽい売り場と、人形劇と紙芝居と映画の上映と、3年生なのに?と呆れられるほど盛りだくさんのイベントをやり通したのだ。あの情熱はなんだったんだろう。3年だから部活はもう引退していたので、部活の方ではなくクラスの展示に力を注げたのだろう。受験に向かう前の最後の輝きというか、やんちゃ騒ぎの日々だった。

だから思い出補正で水増しされた好感度のせいで、評価が甘くなってしまうけど、それはもう仕方ないと開き直るしかない。

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