『密話』

『密話』

『密話』石川宏千花・著 講談社 2012年

下水道で生まれ育ち、人に憧れる人ではない生き物。自分を怖がらずメアリーと名付けてくれた小学6年生マミヤくんが唯一の友だち。美しいマミヤくんがメアリーに願うことは、自分の気に入らない人物を排除すること。それが彼の為だと信じてメアリーはその望みを叶え続ける。

怖い、正直言って気味悪くてどんよりして読むのが嫌になるほどだった。このままどんどんエスカレートしていったらどうなるかと思っていたら、途中から健全なカセくんが出てきて少しほっとした。
メアリーがなぜ生まれたのか、どういう生き物なのか、詳しいことは描かれない。ただひたすら人になりたい、可愛い女の子になりたい、家族がほしいと、いじらしいほど願っている1人ぼっちの生き物だった。自分が人から怖がられるバケモノの姿だからこそ、美しいマミヤくんが友だちでいてくれることが、嬉しくてたまらなかったのだろう。そんなメアリーを利用したマミヤくんこそがバケモノだった。メアリーは彼の抱える闇を大きくしてしまったことに責任すら感じているというのに。

孤独な魂が友人を得た喜び、それが後悔に変わり、解決のために思い切った行動をとる。どうなるのか最後まで目が離せなかった。はたしてどうなったのか、カセくんやスナミさんの存在が少しの希望を持たせてくれた。

SNSで話題が出ていたので読んでみた。初めての作家さん。
本書は雑誌「日本児童文学」に「わたしと友だちになってはいけない」というタイトルで連載されたものに加筆修正されて出版された。掲載誌からいえば児童書のはずなのに、一般書として書籍化されたのは、内容がダーク過ぎたからかな?
タイトルは元の方が良かったのではないかと思う。

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