『TRUE Colors トゥルー・カラーズ』

『TRUE Colors トゥルー・カラーズ』

『TRUE Colors トゥルー・カラーズ』講談社 2023年

講談社の「YA!ENTERTAINMENT」レーベルの中の「YA!アンソジー」シリーズの一冊で、
副タイトルが「YA!ジェンダーフリーアンソロジー」
(しかし、レーベル名、シリーズ名、副タイトルとややこしかった)

ー心と身体を取り巻くあれこれ。「今」を生きる児童文学作家がジェンダーと中学生をテーマに物語をつづりますー

出版社のWebサイトの紹介文の通り、6人の児童文学作家の作品と、イラストを描いた画家の漫画も一編おさめられている。

小林深雪、菅野雪虫の他は初めての作家。長谷川まりるもこの時が初めてだった。
それぞれ違う切り口でおもしろかった。

小林深雪『女子校か、共学か。それが問題だ!』うん、さすが手堅い。

にかいどう青「チョコレートの香りがするね」この作品が1番印象に残った。

長谷川まりる「チキンとプラム」うわっ、この父親ダメだ、気持ち悪い。悪気なければ、親子だからって言い訳になるか!

如月かずさ「いわないふたり」無理にカミングアウトすることはない。

水野瑠見「羽つきスキップ」男子にもきちんと正確に生理のことを教えるべきだ。

菅野雪虫「いつかアニワの灯台に」アニワ灯台という灯台のこと初めて知った。そこに行きたいという気持ちを考えると胸が苦しい。


「チョコレートの香りがするね」
この作品の中で、からかわれる主人公を庇う友人の「ああいうときは怒らないとダメ。笑ってすませていいことじゃない」という言葉に主人公は、それは正しいと認めながらも「(あなたは)強いね。でも自分と同じだけの強さをひとに求めてしまうところが弱さでもある」とこたえる。主人公は目立ちたくないのだ、それくらいなら悪口やからかいくらい我慢する方がマシだと思っている。そう言われた友人は、配慮の足りなさを認めながらも引き下がらない。これからも関わっていくと宣言する。

すごいよ、この子。わたしがそう言われれば、それがその子の望みならと言い訳しながら、一歩下がって見守るくらいにとどめておくだろう。その子の人生丸ごと引き受ける度量は自分にはないから、ここで逃げてしまう。でもこの子は、それでも主人公に関わろうとする。のばした手を引っ込めることはしない。それには相当の覚悟がいる。そのためにたくさん勉強もしてもっと色々知ろうとする。ああ、こういう友人がいれば大丈夫だ。がんばれ!この社会は生きにくいが、負けずに戦って前に進んで行ってほしい。

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