映画「ひとつの机、ふたつの制服」
「ひとつの机、ふたつの制服」
ジュアン・ジンシェン(荘景樂)/監督 2024年 台湾
1/9 OttOにて鑑賞
1997年台北、名門女子高校の受験に失敗し、母親の強引な勧めで不本意ながら同校の夜間部に入学した小愛は、机友(同じ教室で同じ机を使う)の全日制の敏敏(ミンミン)と仲良くなる。自分が憧れた全日制生徒で美人で成績優秀な敏敏が、夜間部の自分と友人になってくれたことはどれほど嬉しかったろうか。制服を交換したり、一緒に学校を抜け出したり、ライブハウスに行ったり、楽しい学校生活を送る。そりゃ浮かれちゃうし、見栄くらい張りたくなる。小愛の小さな見栄と嘘はいじらしい。ちょっと学業がおろそかになってるけど。
同じ男の子路克(ルー・クー)を好きになり、敏敏が嫉妬から小愛に軽く意地悪した気持ちも分かる。でもその後の小愛がさらに傷つく姿を見て、後ろめたさと小愛を気遣う表情を見ると、敏敏自身も傷ついている。この子もとても良い子。路克との思い出の卓球場で1人ピンポン玉を打ち返し続け、ついには床に倒れ号泣する小愛の姿が辛かった。
敏敏に借りていた全日制の制服を返したとき、メモで「違う世界を見せてくれてありがとう」と告げる。楽しい時間が終わってしまった。
「世界が違う」という言葉は悲しいけど、全日制と夜間部の違いだけでなく、家庭事情も違う。シングルマザーの母親の徹底した節約生活にウンザリしている小愛。その母親との親子喧嘩がとても良かった。こういう時母親も感情的になり、泣き叫んだり引っ叩いたり捨て台詞で出て行ったりする展開になりがちだけど、そうはならない。母親は怒鳴りながらもしっかり自分の考えを告げる。小愛が批判した「こんな生活が幸せなの?」に「幸せだ。この生活が将来の安心につながるから。今わたしが死んだらどうなる?年老いた私が病気になったら?この生活のおかげで貯金も出来る」動じない逞しい姿に惚れ惚れする。夫が借金を残して急死し、2人の娘を女手一つで育てる苦労は並大抵ではない。子どもたちには見せないが、夜にため息をつく姿も描かれている。敏敏との時もこの母親との喧嘩も、もっと愁嘆場になりそうな場面なのに、そうはならないのがとてもいい。
1997年の入学から1999年の台湾大地震を経て、大学の合格発表までの青春物語。よくある話といえばそうだけど、とても気持ちいい作品だった。
全日制と夜間部、ずいぶん日本と違うと思ったが、パンフレットに説明があった。台湾でも夜間部は日本と同じ、昼間働いている人のためにある。ただある一時期にだけ、全日制に落ちた生徒が、より良い大学に進学するために、他の全日制でなくあえて名門校の夜間部に通うことが多かったそうだ。小愛の母親が夜間部を強引に勧めたのもこの理由だった。それだけ大学受験競争が過熱していたのだろう。今は本来の目的から逸脱しているということで、夜間部を廃止した学校もあるそうだ。
全日制の生徒であからさまに夜間部を見下している子もいたし、小愛自身「夜間部なんて恥ずかしい」と言っていたが、小愛の劣等感は無理もない。
本来の目的といえば、小愛の同級生于澄月は一旦就職した後やっぱり学業が必要と思い20歳で入学している。この澄月ともっと仲良くなればいいのにと思っていたのだけど、終盤で敏敏、路克、と一緒に小愛の誕生日を祝っていたので、いい仲間になったんだと嬉しかった。
ジュアン・ジンシェン(荘景樂)/監督 2024年 台湾
1/9 OttOにて鑑賞
1997年台北、名門女子高校の受験に失敗し、母親の強引な勧めで不本意ながら同校の夜間部に入学した小愛は、机友(同じ教室で同じ机を使う)の全日制の敏敏(ミンミン)と仲良くなる。自分が憧れた全日制生徒で美人で成績優秀な敏敏が、夜間部の自分と友人になってくれたことはどれほど嬉しかったろうか。制服を交換したり、一緒に学校を抜け出したり、ライブハウスに行ったり、楽しい学校生活を送る。そりゃ浮かれちゃうし、見栄くらい張りたくなる。小愛の小さな見栄と嘘はいじらしい。ちょっと学業がおろそかになってるけど。
同じ男の子路克(ルー・クー)を好きになり、敏敏が嫉妬から小愛に軽く意地悪した気持ちも分かる。でもその後の小愛がさらに傷つく姿を見て、後ろめたさと小愛を気遣う表情を見ると、敏敏自身も傷ついている。この子もとても良い子。路克との思い出の卓球場で1人ピンポン玉を打ち返し続け、ついには床に倒れ号泣する小愛の姿が辛かった。
敏敏に借りていた全日制の制服を返したとき、メモで「違う世界を見せてくれてありがとう」と告げる。楽しい時間が終わってしまった。
「世界が違う」という言葉は悲しいけど、全日制と夜間部の違いだけでなく、家庭事情も違う。シングルマザーの母親の徹底した節約生活にウンザリしている小愛。その母親との親子喧嘩がとても良かった。こういう時母親も感情的になり、泣き叫んだり引っ叩いたり捨て台詞で出て行ったりする展開になりがちだけど、そうはならない。母親は怒鳴りながらもしっかり自分の考えを告げる。小愛が批判した「こんな生活が幸せなの?」に「幸せだ。この生活が将来の安心につながるから。今わたしが死んだらどうなる?年老いた私が病気になったら?この生活のおかげで貯金も出来る」動じない逞しい姿に惚れ惚れする。夫が借金を残して急死し、2人の娘を女手一つで育てる苦労は並大抵ではない。子どもたちには見せないが、夜にため息をつく姿も描かれている。敏敏との時もこの母親との喧嘩も、もっと愁嘆場になりそうな場面なのに、そうはならないのがとてもいい。
1997年の入学から1999年の台湾大地震を経て、大学の合格発表までの青春物語。よくある話といえばそうだけど、とても気持ちいい作品だった。
全日制と夜間部、ずいぶん日本と違うと思ったが、パンフレットに説明があった。台湾でも夜間部は日本と同じ、昼間働いている人のためにある。ただある一時期にだけ、全日制に落ちた生徒が、より良い大学に進学するために、他の全日制でなくあえて名門校の夜間部に通うことが多かったそうだ。小愛の母親が夜間部を強引に勧めたのもこの理由だった。それだけ大学受験競争が過熱していたのだろう。今は本来の目的から逸脱しているということで、夜間部を廃止した学校もあるそうだ。
全日制の生徒であからさまに夜間部を見下している子もいたし、小愛自身「夜間部なんて恥ずかしい」と言っていたが、小愛の劣等感は無理もない。
本来の目的といえば、小愛の同級生于澄月は一旦就職した後やっぱり学業が必要と思い20歳で入学している。この澄月ともっと仲良くなればいいのにと思っていたのだけど、終盤で敏敏、路克、と一緒に小愛の誕生日を祝っていたので、いい仲間になったんだと嬉しかった。
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