『図書館の魔女 高い塔の童心』
高田大介/著 講談社 2025年
2013年の『図書館の魔女』上下巻、2015年の『図書館の魔女 烏の伝言』から10年、待ちに待った刊行、本編の前日譚である。それなのに刊行直後に購入したままずっと手付かずだった。あまりに待ちすぎて内容をほとんど忘れていたので、あらためて読む前に読み直してから、などと思ってる間にほぼ1年経ってしまった。その間にもう1巻今度は本編の続編が刊行され、このままだと2冊とも本棚の飾りになってしまう。前作の再読は諦めて読むことにした。
本編より前の時代、一の谷の「図書館の魔女」の先代「高い塔の魔法使い」マツリカの祖父タイキの時代。マツリカはまだ6、7歳ながら既に「図書館の魔女」の片鱗を見せている。読みながら、本編を初めて読んだ興奮が蘇ってくる。何気ない一言から推測、確認、解決へと進んでいく流れの痛快さ。ああ、そうだった、これがまた読みたかったのだ。今回はまだキリヒトはいないが、こちらも同じく先代と思われる人がいた。ただ二ザマのミツクビとの間に遺恨を残したのは、何か嫌な予感がする。
そしてタイキから明かされるマツリカの両親の話。あまりの悲痛さに胸が痛む。
ハルカゼがタイキやマツリカに感じたこと。
ーその人の頭の中では、あらゆることが結びついている。あらゆることが相互に関係し合っていて、何かを動かすと、それに連動して全てが動き始める。(中略)だが、そうした関係の全体、相互作用の全体を把握して統覚しているような知性のあり方に触れると、むしろ恐れを覚えないではいられない。ー
あまりにも凡人とかけ離れたものは、それが良きものであってもどことなく恐れを抱くのは当然だろう。まだ幼いマツリカには、同時に痛々しさも覚えてしまう。
そしてタイトルの意味が分かった時、ハルカゼの優しさが心に沁みた。
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