今朝の新聞に長谷川まりるの掌編小説が載っていた。こんなところで『杉森くんを殺すには』の作者の名前を見るとは思わなかった。
『これってあるあるですよね!』というタイトルがちょっとおもしろく、読み始めて驚いた。
主人公のエリは両親のなれそめ、離婚、再婚について聞かれるままいつも正直に答えていた。それが当たり前と思っていたので、転校生にそういう事を気軽に尋ねて泣かれてしまう。親友から「そんな立ち入ったこと普通はきかない」と諭され驚いて「自分はいつも聞かれるよ?」とこたえる。そしてその理由を知らされる。
ー仕方ないよ、ハーフだからー
初対面の人に普通は聞かれないことを根掘り葉掘り聞かれるのは、自分がハーフだったから。物心ついた頃からいつもそうだったから、それが当たり前だと思っていた。そのことに慣らされていた。よく考えたらそれはめちゃくちゃおかしいことだった。
母親の
「あなたが平気だから、ほかの人にも失礼なことしていいとはならない」
という言葉に、転校生には素直に謝ろうと決めるエリ。
良い子だな。自分はいつもこんな理不尽なことされていたのに、と恨んでもいいはずなのに。
そして「仕方ない」と言われた親友に対しては、自分の「ハーフあるある」を冗談っぽく言って、少しでも自分の気持ちに気づいてもらいたいと思う。
初めて気がついた事実にとまどい傷つきながら、それでも前に進もうとする主人公を精一杯応援したい。
長谷川まりるのすごさにようやく気づいた一編だった。
この主人公と親友の関係に、藤見よいこの漫画『半分姉弟』を思い出した。第1話のマンダンンダとシバタのように、2人にもなってもらいたい。
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