映画鑑賞記録 8月
⭐︎OttOにて鑑賞
8/3 「父と家族とわたしのこと」 島田陽磨/制作 監督 撮影 2026年 日本
戦後帰還した元兵士のPTSD問題。長らく放置されてきたこの問題、その苦しみは元兵士だけでなく家族にも深刻な影響を与えた。兵士たちが抱えたトラウマは、DVや依存症という形で子や孫へと受け継がれるケースもあるという。映画は過去に虐待された過去を持ち、大人になり今度は家族に暴力を振るってしまう自分の姿に苦悩する3人を取り上げる。彼らが葛藤しながらも自分を虐待した親たちの足跡を追い、自身の生きづらさと向き合っていく姿を追っていく。見ていて本当に辛く苦しかった。少しでもこの人たちの心が安らかになってほしい。
戦争に行くということは敵を相手を殺すこと。何も考えずただただ命令に従い人を殺す人間を作り出すのが戦争。それは今の世界でも続いている。
8/10 「エレノアってグレイト。」 スカーレット・ヨハンソン/監督 2025年 アメリカ
親友を亡くし娘と同居することになった90歳のエレノア。母親を亡くしたばかりの学生のニナ。思いがけないきっかけで知り合った2人が交流を深め、大切な人を失った悲しみを共有し、それぞれ新しい希望へ歩き出していく素敵な話だった。ホロコーストの話題はかなりきつかった。
8/22 「リターニーズ RETURNEES〜元子ども兵 それぞれの再起〜」 菊池 啓/監督・撮影・編集 2026年 日本
アフリカのウガンダ。1980年代後半から約20年間内戦が続き、1990年代から反政府武装勢力「LRA(神の抵抗軍)」は3万人以上の子供を誘拐して兵士にしたり、その妻として強制結婚させたりした。教育も受けられず恐怖に支配され命令に従い、ただ戦ってきた彼らは、せっかくLRAから逃れてきても家族からも厄介者扱いされ、社会復帰は難しい。そんな彼らの社会復帰の支援をしている日本のNPOテラ・ルネッサンスの活動を記録した映画。
誘拐された被害者でありながら、兵士として村を襲ったり新たに子どもを誘拐して兵士にする、加害者でもある彼ら。彼らが保護され社会復帰の訓練をしているテラ・ルネッサンスの施設には誘拐した者、された者、殺戮を命じた者、命じられた者、それぞれが一緒に生活している。平気なのかなとちょっと複雑な気持ちになった。大きい意味ではみんな被害者なんだけど。ここを卒業して社会復帰を果たした人も出てくるし、これから仕事を始めようと計画している人もいる。みんな無事に社会復帰して笑顔で暮らせるようになってほしい。テラ・ルネッサンスはウガンダだけでなくコンゴでも新しく事務所を立ち上げた。この映画で初めてテラ・ルネッサンスを知ったが、本当に頭が下がる。どうか彼らの活動が実を結びますように。
8/25 「そして彼女たちは」 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ/監督 2025年 ベルギー=フランス
ベルギーにある母子支援施設で共同生活をしている若い(本当に若い!みんなまだ10代、15歳の子も)母親たち五人の群像劇。彼女たちがどういう経緯でここで暮らしているのかという説明はないが、何か事情があってこの施設にいることはわかる。出産前の少女もいれば、一緒に暮らすはずだった恋人に逃げられた少女、生まれた子どもを養子に出す決心をしている少女、恋人と子どもと一緒に住む計画を立てているが精神的に不安定な少女、それぞれの状況が描かれ見ていて辛くなる。1人希望の職を得て赤ちゃんと共に卒業していく少女がいて、彼女の送別会の場面が楽しそうでよかった。こういう支援施設は民間なのか公立なのかわからないが、共同生活しながらスタッフが身体的精神的にサポートしていて、出産後の生活の目処が立つまで(期限はあるみたいだが、たしか1年だったか?)いられるのはいい。未成年の出産という不安定な状況に置かれた若い少女たちが、少しでも明るい未来へ進んでいけるようにと願う。
⭐︎彩の国さいたま芸術劇場 映像ホールにて鑑賞
8/6 ナショナル・シアター・ライブ「インター・エイリア」
久しぶりのNTL鑑賞。県内では見られないと諦めていたので嬉しい。
「インター・エイリア」とは「その他のことの中で」というラテン語で、法律用語という。本作では働く女性たちが日々の暮らしをどのようにやりくりしているかの象徴として用いているという。
確かに主人公のジェシカは判事の仕事をしながら、妻、母親、という家庭のことにも忙しく取り組んでいる。演じるロザムンド・パイクが序盤から出ずっぱりでとにかくひっきりなしに喋り動き回るので、見ていて疲れてきた。でもこれが彼女の毎日なんだなと体感できる。こんなの疲れるよ〜。優秀な判事なのに家庭では夫に気を遣っている姿は、欧米では男女格差が日本ほど無いと思っていたので、ここでも同じなのかと愕然とした。男性ならこういうこと(その他のこと)に気を使う必要ないのは、日本でも世界でも同じなのだ。妻の昇進に対しての態度で器の小ささを露呈した夫だが、終盤の泣き崩れる姿には世間に根強い「男はこうあるべき」という規範に縛られて古い感覚をアップデートできない哀れさも感じた。
息子の性暴力事件に直面したときは、いつもの被害者を守るべき職務よりも母親としての私情が勝りそうになる。これはきつい。どうなるかハラハラしたけれど、息子の正しい選択にほっとした。これからが母親として判事として、辛い日々がはじまるのだろうが、逃げずに進んでいくことを信じる。
⭐︎WOWOW放送で鑑賞
映画「入国審査」 アレハンドロ・ロハス ファン・セバスティアン・バスケス/監督 2023年 スペイン
アメリカへ移民ビザで入国しようとしたカップルが、空港の別室で審査官の執拗な質問を受ける。狭い部屋での圧迫感閉塞感に、見ている間中もうずっと息苦しくてたまらなかった。何が問題なのか?審査官の「自分の判断で決まる」という脅し文句も怖いし、そんなこと聞く?というような細かい質問がネチネチと次々に出される。ダンサーだという女性に「踊ってみせろ」と言うのなんか、ただの嫌がらせとしか思えない。男性の方に何かありそうなことがわかってくるけど、本来なら話し合いで解決できそうなのに、こんな形で暴露されたらこの後どうすればいいのさ。責任取れよ審査官たち。最後は思い切りよくズバッと映像が断ち切られてびっくりした。この後は見る人の想像に任せますってこと? 審査官は規則に従ってやってるだけなんだろうけど、基本的に移民をなるべく受け入れないようにしているように見えてしまった。それは日々のニュースで見聞きする日本の入管のやり方と同じだ。だからよけいにしんどかった。
映画「決断するとき」 ティム・ミーランツ/監督 2024年 アイルランド
クレア・キーガンの『ほんのささやかなこと』の映画化。原作も静謐で深い感動作だったけど、映画もとてもよかった。常に画面が暗く凍えそうな冷たい空気が伝わってくる。いつも何かに耐えるような顔をしているキリアン・マーフィーを見てるだけで、息が詰まりそうになってくる。貧しくとも妻と五人の娘との生活を大切にし、真面目に正直に生きている彼が、修道院の秘密を知った時の苦悩。悪名高きマンダレン洗濯所、こういう場所が1996年まで実在していたとは。修道院長役のエミリー・ワトソンとの対面では怖くて怖くてたまらなかった。見て見ぬふりをしていれば、ささやかな幸せを守り平穏な生活が送れただろうに、これからの彼と彼の家族にどんな事態が降りかかるか考えると辛い。でもずっと暗い顔だったキリアン・マーフィーが、ラストで少女に見せた笑顔に希望があると思いたい。
8/3 「父と家族とわたしのこと」 島田陽磨/制作 監督 撮影 2026年 日本
戦後帰還した元兵士のPTSD問題。長らく放置されてきたこの問題、その苦しみは元兵士だけでなく家族にも深刻な影響を与えた。兵士たちが抱えたトラウマは、DVや依存症という形で子や孫へと受け継がれるケースもあるという。映画は過去に虐待された過去を持ち、大人になり今度は家族に暴力を振るってしまう自分の姿に苦悩する3人を取り上げる。彼らが葛藤しながらも自分を虐待した親たちの足跡を追い、自身の生きづらさと向き合っていく姿を追っていく。見ていて本当に辛く苦しかった。少しでもこの人たちの心が安らかになってほしい。
戦争に行くということは敵を相手を殺すこと。何も考えずただただ命令に従い人を殺す人間を作り出すのが戦争。それは今の世界でも続いている。
8/10 「エレノアってグレイト。」 スカーレット・ヨハンソン/監督 2025年 アメリカ
親友を亡くし娘と同居することになった90歳のエレノア。母親を亡くしたばかりの学生のニナ。思いがけないきっかけで知り合った2人が交流を深め、大切な人を失った悲しみを共有し、それぞれ新しい希望へ歩き出していく素敵な話だった。ホロコーストの話題はかなりきつかった。
8/22 「リターニーズ RETURNEES〜元子ども兵 それぞれの再起〜」 菊池 啓/監督・撮影・編集 2026年 日本
アフリカのウガンダ。1980年代後半から約20年間内戦が続き、1990年代から反政府武装勢力「LRA(神の抵抗軍)」は3万人以上の子供を誘拐して兵士にしたり、その妻として強制結婚させたりした。教育も受けられず恐怖に支配され命令に従い、ただ戦ってきた彼らは、せっかくLRAから逃れてきても家族からも厄介者扱いされ、社会復帰は難しい。そんな彼らの社会復帰の支援をしている日本のNPOテラ・ルネッサンスの活動を記録した映画。
誘拐された被害者でありながら、兵士として村を襲ったり新たに子どもを誘拐して兵士にする、加害者でもある彼ら。彼らが保護され社会復帰の訓練をしているテラ・ルネッサンスの施設には誘拐した者、された者、殺戮を命じた者、命じられた者、それぞれが一緒に生活している。平気なのかなとちょっと複雑な気持ちになった。大きい意味ではみんな被害者なんだけど。ここを卒業して社会復帰を果たした人も出てくるし、これから仕事を始めようと計画している人もいる。みんな無事に社会復帰して笑顔で暮らせるようになってほしい。テラ・ルネッサンスはウガンダだけでなくコンゴでも新しく事務所を立ち上げた。この映画で初めてテラ・ルネッサンスを知ったが、本当に頭が下がる。どうか彼らの活動が実を結びますように。
8/25 「そして彼女たちは」 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ/監督 2025年 ベルギー=フランス
ベルギーにある母子支援施設で共同生活をしている若い(本当に若い!みんなまだ10代、15歳の子も)母親たち五人の群像劇。彼女たちがどういう経緯でここで暮らしているのかという説明はないが、何か事情があってこの施設にいることはわかる。出産前の少女もいれば、一緒に暮らすはずだった恋人に逃げられた少女、生まれた子どもを養子に出す決心をしている少女、恋人と子どもと一緒に住む計画を立てているが精神的に不安定な少女、それぞれの状況が描かれ見ていて辛くなる。1人希望の職を得て赤ちゃんと共に卒業していく少女がいて、彼女の送別会の場面が楽しそうでよかった。こういう支援施設は民間なのか公立なのかわからないが、共同生活しながらスタッフが身体的精神的にサポートしていて、出産後の生活の目処が立つまで(期限はあるみたいだが、たしか1年だったか?)いられるのはいい。未成年の出産という不安定な状況に置かれた若い少女たちが、少しでも明るい未来へ進んでいけるようにと願う。
⭐︎彩の国さいたま芸術劇場 映像ホールにて鑑賞
8/6 ナショナル・シアター・ライブ「インター・エイリア」
久しぶりのNTL鑑賞。県内では見られないと諦めていたので嬉しい。
「インター・エイリア」とは「その他のことの中で」というラテン語で、法律用語という。本作では働く女性たちが日々の暮らしをどのようにやりくりしているかの象徴として用いているという。
確かに主人公のジェシカは判事の仕事をしながら、妻、母親、という家庭のことにも忙しく取り組んでいる。演じるロザムンド・パイクが序盤から出ずっぱりでとにかくひっきりなしに喋り動き回るので、見ていて疲れてきた。でもこれが彼女の毎日なんだなと体感できる。こんなの疲れるよ〜。優秀な判事なのに家庭では夫に気を遣っている姿は、欧米では男女格差が日本ほど無いと思っていたので、ここでも同じなのかと愕然とした。男性ならこういうこと(その他のこと)に気を使う必要ないのは、日本でも世界でも同じなのだ。妻の昇進に対しての態度で器の小ささを露呈した夫だが、終盤の泣き崩れる姿には世間に根強い「男はこうあるべき」という規範に縛られて古い感覚をアップデートできない哀れさも感じた。
息子の性暴力事件に直面したときは、いつもの被害者を守るべき職務よりも母親としての私情が勝りそうになる。これはきつい。どうなるかハラハラしたけれど、息子の正しい選択にほっとした。これからが母親として判事として、辛い日々がはじまるのだろうが、逃げずに進んでいくことを信じる。
⭐︎WOWOW放送で鑑賞
映画「入国審査」 アレハンドロ・ロハス ファン・セバスティアン・バスケス/監督 2023年 スペイン
アメリカへ移民ビザで入国しようとしたカップルが、空港の別室で審査官の執拗な質問を受ける。狭い部屋での圧迫感閉塞感に、見ている間中もうずっと息苦しくてたまらなかった。何が問題なのか?審査官の「自分の判断で決まる」という脅し文句も怖いし、そんなこと聞く?というような細かい質問がネチネチと次々に出される。ダンサーだという女性に「踊ってみせろ」と言うのなんか、ただの嫌がらせとしか思えない。男性の方に何かありそうなことがわかってくるけど、本来なら話し合いで解決できそうなのに、こんな形で暴露されたらこの後どうすればいいのさ。責任取れよ審査官たち。最後は思い切りよくズバッと映像が断ち切られてびっくりした。この後は見る人の想像に任せますってこと? 審査官は規則に従ってやってるだけなんだろうけど、基本的に移民をなるべく受け入れないようにしているように見えてしまった。それは日々のニュースで見聞きする日本の入管のやり方と同じだ。だからよけいにしんどかった。
映画「決断するとき」 ティム・ミーランツ/監督 2024年 アイルランド
クレア・キーガンの『ほんのささやかなこと』の映画化。原作も静謐で深い感動作だったけど、映画もとてもよかった。常に画面が暗く凍えそうな冷たい空気が伝わってくる。いつも何かに耐えるような顔をしているキリアン・マーフィーを見てるだけで、息が詰まりそうになってくる。貧しくとも妻と五人の娘との生活を大切にし、真面目に正直に生きている彼が、修道院の秘密を知った時の苦悩。悪名高きマンダレン洗濯所、こういう場所が1996年まで実在していたとは。修道院長役のエミリー・ワトソンとの対面では怖くて怖くてたまらなかった。見て見ぬふりをしていれば、ささやかな幸せを守り平穏な生活が送れただろうに、これからの彼と彼の家族にどんな事態が降りかかるか考えると辛い。でもずっと暗い顔だったキリアン・マーフィーが、ラストで少女に見せた笑顔に希望があると思いたい。
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