RENT(レント)
1996年からブロードウェイで上演されたミュージカルの映画化作品。(2005年 日本上映は2006年) DVDで鑑賞
「ヘドウィグアンドアングリーインチ」と同じく、気になりながらも未鑑賞だった作品。TUTAYAでたまたま「ヘドウィグ〜」と同じ棚にあったので、ついでに借りてきた。
これも歌がいい。冒頭から引き込まれた。未鑑賞の理由として、レント(家賃)を払わない連中の話というので、敬遠する気持ちがあった。正直「ちゃんと家賃は払えよ」という気持ちは変わらず、彼らを無条件で応援する気にはなれないのだが、とにかくたたみかける歌の洪水に圧倒される。こんな歌が多いミュージカルは初めて。これは映画化は難しかっただろうな。このテンポだと舞台の方が向いていると思う。舞台だと1幕と2幕の間に休憩が入ると思うのだが、ノンストップで2時間以上観ていると、途中疲れてついウトウトしてしまった。
だが歌は本当にいい。観てよかった。おかげでストーリーと登場人物もわかり、ミュージカルファンの会話が理解出来るようになるのは嬉しい。映画はこういう効果がある。わたしがミュージカル好きになったのも、映画がきっかけ。その後たいてい映画より元の舞台の方が断然にいい!となるのだが。
先に観た「ヘドウィグアンドアングリーインチ」で登場人物の1人が「レント」のオーディション(エンジェル役)受けて受かった!という場面があったが、その時彼がおかっぱのカツラをかぶっていたのが不思議だったのだが、この映画観てその訳が分かった。
そのエンジェルはめちゃめちゃ可愛かったし、彼以外もキャストはみんな上手くて良かった。イディナ・メンゼルとアダム・パスカルは2008年のロンドンでの「Chess in Concert 」の時より、当たり前だけど若い。この2人を含め主要登場人物8人のうち6人までも舞台初演時キャストだったのが、ファンには嬉しかっただろう。しかしオリジナルキャストではないジョアンナ役の人が、舞台でのオーディションに落ち続けていたと聞いて驚いた。こんな歌の上手い人でもオーディションに落ちるとは。それだけ人材が豊富ということで、ブロードウェイの底力をあらためて感じた。
そして作者のことを知ってさらに驚いた。この膨大な作品を(作曲、作詞、脚本)1人で書き上げた作者の才能と劇的な死(オフブロードウェイ公演初日の朝急逝)には言葉もない。