『海鳴りのレクイエムー「対馬丸そうなん」の友と生きるー』
平良啓子・著 1985年 民衆社
副題にもあるとおり、著者は対馬丸の生存者であり証言者である。インタビューでなく彼女の生の声を知りたくて読んでみた。
映画のインタビューでも感心したが、とても聡明で意志の強い人だ。生い立ちから対馬丸事件、救助後の事、終戦後の生活、沖縄の本土復帰、今も抱える問題など、丁寧に書かれている。一貫しているのは、戦争への怒りと平和への強い思い、故郷沖縄への深い愛情、そして対馬丸で逝った多くの人々への鎮魂の思いだった。それがストレートに伝わってくる。
著者は2023年に逝去。長く教職にあり、常に子どもたちに戦争の残酷さと平和の尊さを伝え続けてきた著者の、真摯な思いをしっかりと受け止めていかなければならないと、あらためて思った。
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