「十角館の殺人」ドラマ版
綾辻行人『十角館の殺人』を初めて読んだ時の衝撃は凄かった。それこそ「あの一行」で叫び声を上げた。その後綾辻作品は「館シリーズ」をはじめ色々読み、好きな作品というなら『霧越邸殺人事件』と迷うのだが、この作品に勝る衝撃はなかった。
そんな作品がドラマ化されると知ったのは一昨年の終わり頃。まさか!嘘だろう?無理だろう?と思った。怖いもの見たさで見たいとは思ったけど、Huluの配信なのでどうせ見られないと諦めていた。キャスト発表されても、年齢的に大人の出演者ばかりで、学生はどこ?と思っていた。その後の出演者の発表もあったらしいけど、何となく気になりながらも時を過ごしていた。
ドラマは見られないけど娘がコミック版を電子書籍で買って読ませてくれた。
江南が女性になっていたり、そもそもの発端の出来事が原作と違っていたり、色々工夫されていた。あの1番の衝撃は、漫画ならではの手法で、ああ〜なるほどこれなら可能だな、というもので面白く読めた。
でもこの手法は漫画だからできたのであり、これを実写でやっても無理だろうな、と相変わらず冷めた見方をしていた。
そしてとうとう昨年末地上波で年末年始深夜に放送されると知り、わくわくしながらしっかり録画予約してその日を待った。
はい、お見事でした!
漫画と違い時代も出来事もほぼ原作通り。ちょっとイメージと違うキャストもいたけど、だんだん気にならなくなったし、漫画だから可能だと思っていたトリックも映像でも見せ方の工夫で無理なかった。なるほどなあと感心しながら1〜3話を見ていって、4話のラストで「あの一行」が来て、うわ〜!と鳥肌がたった。絵的には漫画と同じだったのに、漫画は「うん、そうなるよね」で終わったけどこちらでは変貌が鮮やかすぎて、ゾっとした。その衝撃のままにエンドロール。ああ、そういえばこれまでエンドロールがなかったっけ!この場面の後でないと出せないものな!よく考えてある。大興奮のまま翌日の最終話を迎えた。改変部分も少しはあるけどほぼ原作と同じ。違ったのは江南の推理で彼女の心情を思いやるところ。でもこれがある事で原作の虚無感がよくあらわれていたと思う。ラストシーンも台詞は聞かせずに上空からの鳥瞰図で状況を見せる。演出とカメラワークと俳優の演技でとても良い映像化になったと思う。
大満足のドラマ化だったけど、CMの多さには参った。しかもそれがここで?というところで入るので気が削がれる。出来ればCMなしで一気見したいので、Blu-rayが出たらこれはぜひ買いたい。
コメントを書く...
Comments