映画「ピクニックatハンギング・ロック」WOWOW放送
「ピクニックatハンギング・ロック」という1975年の映画(日本公開は1986年)があることはいつの頃か知り、おもしろそうだなと思っていた。
その原作(1967年刊行)が翻訳出版された時に読んでみた(写真 ジョーン・リンジー著 2018年 創元推理文庫)
事前情報でピクニックに行った少女たちが行方不明になる話だと思っていたけど、それより、その後の騒動がメインという印象だった。
WOWOWで放送があるのを知り、これは絶対見る!と楽しみにしていた。
原作では後半の印象が強く、少女たちの印象は薄かったのだけど、映像で見るとそれはもう美少女ぞろいで眼福。1900年という時代もあり、服装などクラシカルで美しい。この少女たちがピクニックに行くのである。さぞかし美しい絵であろうと期待するではないか。
ところが、少女たちのビジュアルと風景のチグハグさに、落ち着かない気分になった。ピクニックという言葉から緑の草原を連想したのに、何やら埃っぽく、木は緑というより黒々してるし、小川は清流のせせらぎなんて程遠い小汚さだし、山もゴツゴツした岩だし。岩=ロックなのでまあ確かにタイトル通りではあるけど。あんなところにピクニックに行くのか?なんか美しいものが汚されそうな不穏な気分になる。グロテスクですらある。
生徒3人と教師1人が行方不明になり大騒ぎになり捜索が続くが一週間後に見つかったのは生徒1人だけ。その生徒も記憶ははっきりせず何があったのかは依然としてわからない。
謎は最後まで解けず生徒は帰らず、残された生徒教師校長を含めた学院全体が混乱の中で崩壊していく。生徒の1人の行く末が哀れ。なにより校長の壊れっぷりがすごい。
生徒たちにとっては抑圧されていた学院生活からの息抜きで、課外授業としてのピクニックが楽しみであったのだろうなあ。だからあんな場所でもはしゃいでいたのだろう。
岩山を登って行った少女たちはどこに消えたのか?1人はどうやって戻ってきたのか?言葉で説明されただけでその場面の映像もなく、いつのまにか行方不明になっていた教師はどこへ?少女たちと合流したのか?最後まで何もわからない。
ただその事件がきっかけで、校長が作りあげた学院という名の彼女の王国が崩れ去ったという事実だけはわかった。
期待していた内容とは違ったけれど、とても不穏でグロテスクだけれど、おもしろかった。
ミランダはとても美しい少女でした。
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