映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」

映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」
ショーン・ベイカー/監督 2017年 アメリカ  日本公開2018年

WOWOW放送視聴

とてもよかった!
華やかなディズニーワールドの近くの安モーテルで暮らす、シングルマザーのヘイリーと6歳の娘ムーニーの日常。
真夏の太陽の中、色彩豊かに描かれる子どもたちが生き生きしていて本当に楽しそう。子どもらしいといえば聞こえはいいけど、しかしまあ悪ガキでその無茶苦茶ぶりに呆れるばかり。しつけはどうした?と母親を叱りたいけど、この母親自体社会性が身についていない。はたから見たら母親失格だ。料理はしてる様子はないし、食事はもらいもののパンケーキや福祉団体?が配給するパンだけ。口は悪いしムーニーの悪戯にも厳しく注意もしない。福祉事務所らしきところで無料のパスを申請する場面があるが、そこで以前の勤め先で客に性的サービスを要求され断ったらクビになった、再就職する気はあるが、どこも雇ってくれなかった、と訴える。うん、その態度じゃ無理なんじゃない?結局申請は却下される。
こんなめちゃくちゃな母親だけど、ヘイリーはどんな時でも娘に決して暴力を振るったりはしない。ちゃんと愛している。きちんとしつけをしていないのも一種の虐待といえるのだが、彼女自身たぶんそういう教育を受けていないので、どうやってしつけたらいいのかわからないのだと思う。

家もなく低収入の人々がやむなく長期滞在しているこのモーテルには、管理人ボビーがいる。ムーニーたちの毎日のイタズラに悩まされながらも、かくれんぼに付き合ってくれたり、不審者を追い払ったり、常に住民を気遣っている頼もしい存在だ。彼に見守られ、隣人たちも同じような境遇なのでお互い出来ることは助け合いながら暮らしていたムーニーたちだけど、うっかり引き起こした事件をきっかけに、楽しい日々に影がさしてくる。
そこからどんどん状況が悪くなる。友人アシュリーがヘイリーと絶交するのは、同じ母親としての気持ちがわかるだけに、仕方ないとはいえ辛い。そこからさらに状況が悪化して1番恐れていた家庭局がムーニーの保護に訪れる。ヘイリーは母親失格とみなされたのだ。
だけど保護するならヘイリーもしてほしい。ちゃんと就労支援してやってよ。引き離すんじゃなくて、どうにか2人がちゃんと暮らしていけるように支援するのが、行政の役目でしょ?あんなに愛情たっぷりな母親なのに。
母親から離されると悟ったムーニーが逃げ出し、友人のジャンシーのところに駆けこみ泣きながら訴える。あのムーニーが、どんな時も明るく元気で決して涙を見せなかったムーニーが、泣いている。わたしの涙腺も決壊した。

ラストシーンはこれはおとぎ話。ちょっとあっけにとられたけど、ここで終わるのが素晴らしい。

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