着物
実家が呉服屋だったこともあり、幼い頃から着物には慣れ親しんでいた。習い事も琴と茶道だったので発表会など着物を着る機会も多かった。昔なのでまだ小学校の入学式など着物で参列する母親も一定数いた。でもお店はあまり売れていないようだし、着物の人も普段は見かけないし、倒産しないかといつも心配していた。ジリ貧の店舗を手放し訪問販売に転換して母が家業を支えていた(父はお金使うばかり)
店は結局兄が継いだのだけど、もう30年前から「さっぱり売れないのでタクシー運転手をしている」と聞いて、無理もないと思っていた。開店休業だった呉服屋を、最近ようやく廃業届を出して正式にたたんだそうだ。何か工夫すればもっと売り上げも伸びたのではないかと思う事はあったけど、わたしが口を出すことではないし、母の苦労を見ていたから自分ではあんなこと絶対出来ないと思っていた。
結婚した時まあまあの着物は持たされていた。あの頃はお正月とかに着物着ていたし、もっと余裕ができたら、母のように普段でも着物を着る生活をしようかなと夢みていた。生活様式も変わり、動きにくく手入れも面倒な着物を着る機会は減っていった。子育て、介護の期間はとにかくシャカリキに動きまわり、いつの間に着物はおろか、スカートすらはかずズボンで飛び回るようになり、そのラクさに慣れ今では普段着も外出着もズボンで、持っているスカートは喪服しかない。
母が介護施設に入所して実家じまいをした時、大量にあった母の着物の一部を貰い受けた。正直何も要らないと兄には伝えたのだが、大部分を友人に譲った兄が「せめてこれくらいはお前持ってろよ」と母の留袖や大島を持ってきてくれた。見るとやはり懐かしい。これを着ていた母を思い出す。自分の着物はもう若向き過ぎて着られないが、母の大島などはこれからのわたしにちょうどいいかもしれない、いつか着たいなと思っていた。
夫、義母、母と順に見送り、介護生活も一段落した頃思い切って家のリフォームをした。小綺麗になった部屋に、着ないまでも着物や小物を飾って楽しめたらいいなと夢想していた。
いざリフォームが済むと片付けに追われ、事故で入院したり、後遺症などで体調不良が続き、着物どころではなくなった。夢はまだ夢のまま。
最近着物の漫画が目につくようになった。
おざわゆき『またのお越しを』
佐悠『爛漫ドレスコード』
東村アキコ『銀太郎さんお頼み申す』
このうち『爛漫ドレスコード』は娘が気に入って電子版で買い、『銀太郎さんお頼み申す』はネットで無料話だけちょくちょく読んでいる。
わたしが買っているのは『またのお越しを』だ。着物を好きになった主人公が和小物の店を出す話。着物の話だけでなくお店作りの話にもなっているところに惹かれて読んでいる。
現在6巻まで出ている。4巻までは紙の書籍だったのが、5巻からは電子書籍のみの刊行になったので、5、6巻は電子版を買っている。売れ行き悪かったのかなあとがっかりしている。ネットで最新話は読めるが、作者によるとあと3話くらいで完結とのこと。開業までも開業後もいろいろ問題山積みで、これからの展開が気にかかる。
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