店を作るー漫画『またのお越しを』から思うこと

店を作るー漫画『またのお越しを』から思うこと

わたしが『またのお越しを』が気になったのは、着物の話だけでなく店を作る過程が読めることだった。

カフェを併設した和小物の店。

ああ、兄がやりたかったのはこういう店だったのかなと思う。まだ兄もわたしも学生の頃、兄が喫茶店と呉服屋を合わせた店が出来たらなあ、と言った事があって、なんかいつも流行りに敏感な兄のちょっとした思いつきにみえた。

外商で顧客を回り、逸品ものを売るのがその頃の母のやり方だった。店舗だと家賃、光熱費、人件費がかかる。身ひとつで出来る外商で顧客を開拓していた。身軽な分、常に何かしら顧客に働きかけ、身銭をきり付き合いを絶やさぬようにしていた。

今思うと兄も気の毒だった。母の商売の仕方は母の才覚あってのことで、兄がどれだけ努力しても継げるようなものではなかった。わたしと弟は自分たちは母のようには絶対出来ないと早くから悟っていたけど、兄はなまじ小器用である程度は出来たため、期待されてしまったのだ。しかし母の客は母以外からは買わない。代替わりしても兄の客にはならなかった。
母は兄を手伝いとして連れ回せば兄が仕事を覚えると思っていたのだろう、兄を手伝いとしてしか扱わず、兄はそんな扱いに不満を持ち、2人の言い争いもあった。年を取り体がきつくなった母には気の毒だが、もっと早くから兄を手放せばよかったと思う。そうすれば兄は自分の道を模索し進んでいけただろう。選択肢の一つにカフェ併設の呉服屋もあったろう。

だから「くくりや」の開業には興味あった。はたしてそんなに上手く店をはじめられるものなのか。起業に向けての勉強から、着物についての勉強、お店の場所探し、融資の申請、内装業者の決定、仕入れ先の確保、などなど。本当に開業するとなったら、まだまだやることは多いだろうしハードルも高い。ついつい自分に引き寄せて、兄ならどんな店にしただろう、ここはわたしが協力できるかな、などと楽しみながら読んでいた。
想像するだけなら簡単、いずれ部屋の片隅に和小物コーナー作って、日替わり週替わりで、手持ちの着物や小物を飾って、それを見ながらお茶するのもいいね。そんな夢を与えてくれた作品。

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