日々の雑記
『ゴーストアンドレディ』

『ゴーストアンドレディ』

『ゴーストアンドレディ』上下 藤田和日郎・著 講談社 2015年
「黒博物館」シリーズ第2弾。
このシリーズもこの作品も知らなかったのだけれど、劇団四季がミュージカル化すると聞いて俄かに興味を持ち読んだ。
作者の藤田和日郎の作品はもう20年以上前『うしおととら』を読んだことがあるが、それ以降はどんな作品を書いているかも知らなかった。『うしおととら』は最初少年漫画の妖怪バトルものだと思って敬遠していたけど、読んでみたらなんとも切ない物語だったのを覚えている(実は詳しい内容は忘れていたが)。事前情報で「レディ」がナイチンゲールだと知り、「また人間と人外のモノとの話なんだな、でもナイチンゲールとモノノケをどう絡めるのだ?」と思っていた。

冒頭からゴースト登場、ナイチンゲール(フローと呼ばれている)との出会いから語り始める。劇場に取り憑いたシアターゴースト<灰色の服の男>通称グレイ。彼の元に現れ自分を殺して欲しいと頼むフロー。なんとも衝撃的な出会い。フローには人間に取り憑いた生霊が見える(なぜか自分の生霊は見えない)その生霊の凄まじさ、絵が上手いからまあその凄まじいこと。そんな醜悪なモノ見えてたら正気ではいられない。フローはそんな中でも自分に与えられた使命、人々を救いたいという思いに突き動かされ看護婦(当時)を志す。しかし貴族であるが故に家族からは許されない。やっと自分がすべきことが見つかったのにそれが許されず、なんの役にも立てないのならもう死ぬしかない。でもキリスト教徒なので自殺はできない、人に頼むとその人を殺人者にしてしまう。だからゴーストに殺してもらいたい。いやちょっと待て、結構勝手だなそれ。強いぞフロー。そしてグレイが家族の生霊を懲らしめたことで一瞬正気を失った家族の許しをまんまと得て、自分の道を進むことができた。いよいよナイチンゲール伝説のはじまりだ!
考えてみるとナイチンゲールのことは子供の頃に偉人伝の人として名前を知り、クリミア戦争で傷病者を看護した、ということしか知らなかった。看護婦の鑑、白衣の天使というイメージだけで実際の功績までは深く知ろうとまでは思わなかった。この作品がどのくらい史実に正確なのかはわからないが、彼女が立ちはだかる障害困難に果敢に立ち向かい、自分の信念を貫き通したことが、迫力ある絵で熱く熱く描かれぐいぐい読ませる。感動の物語とバトルものが違和感なくマッチしている。上手いなあ。
これをどうミュージカル化するのか?できるのか?劇団四季のミュージカルがとても楽しみになった。
ポイント交換

ポイント交換

普段の買い物は1番近くのスーパーでカード決済している。昔は現金派でカードには抵抗があったけど、使ってみるとレジでのお金のやり取りがなく時間短縮になるので、最近はずっとカード。このスーパーでは買い物のたびにTカード(今はVカード)のポイントが貯まり、時々店の買物券と交換している。

決済に使っているカードにもポイントが貯まり、そのカードとは別にネット通販に使っているカードにもポイントが貯まる。ある程度貯まるとそれぞれnanacoに交換している。
その他にもうひとつ保険会社のなんちゃらコインとかが貯まってて有効期限が迫ってます、という連絡が以前からあり、どうせならと今日3つまとめてnanaco交換手続きした。

スマホで手続きするのだが、それぞれ手続き方法が微妙に違うのと、スマホの小さい画面でIDやパスワードを入力するのでとても疲れた。
さらにスマホで手続きは終わっても、交換した電子マネーをnanacoカードにチャージするのが可能になるまでの期間が、これまたカードによってまちまちなので、実際に交換したポイントが使えるようになるにはけっこう時間がかかる。しかもチャージには店舗に行かなくてはならない。正直面倒くさい。でもこれも少しでも家計の足しにしたいから。

電子マネーはnanacoの他にSuicaとPayPayを使っている。もうこちらは現金チャージ一択である。いつの間にか現金より電子マネーを使う方が多くなったけど、これわたしが死んだらどうなるのかな。nanacoやSuicaなどは残高ある限り家族が使えばいいけど、端数はのこっちゃうかな。PayPayはスマホ解約したら使えなくなるから、解約前になるべく残高減らすように伝えておかなくちゃ。便利にはなったけど余計な心配も増えたなあ。
『きつねの橋』について

『きつねの橋』について

『きつねの橋』の感想を書いてから、偕成社のWebサイトに『きつねの橋』の内容紹介と著者の言葉、編集者の言葉が載ってるのを見つけた。最初からこちらを読めばよかった。

そこにちゃんと貞道がのちに源頼光四天王として知られる、とある。あ、やっぱりそうなのか。
さらに作者久保田香里さんの言葉に、この話は『今昔物語』から思いついたとある。
また編集者からは、久保田さんが『古事記』『日本書紀』『続日本記』『今昔物語』など古典作品を熟読することが趣味だと紹介されている。ああ、やっぱりきちんと古典の素養があるから書けるのだと納得した。
児童書で歴史物を読めるのは嬉しいので、これからもいろいろ書いてほしい。


「ものがたりする平安」というWebマガジンの2019年8月14日の記事に『きつねの橋』が取り上げられていて、これと同じことが載っていた。「ものがたりする平安」ってちょっといい言葉だな。
『きつねの橋』『きつねの橋 巻の二うたう鬼』

『きつねの橋』『きつねの橋 巻の二うたう鬼』

『きつねの橋』『きつねの橋 巻の二 うたう鬼』
久保田香里・著 佐竹美保・絵 偕成社 2019年 2021年

久保田香里の平安朝ファンタジー。一旗あげようと故郷から都に出てきて、源頼光の郎党となった平貞道が主人公。手柄を立てようと慣れぬ都で日々頑張っているうちに、色々な人との交流が生まれる。先輩の季武、人に化けるきつねの葉月、葉月が仕える不遇な斎院、まだ幼い後の藤原道長、2巻では渡辺綱も登場する。狐といえば斉藤洋の『白狐魔記』を思い浮かべるが、こちらの狐は女の子の葉月。斎院を守ろうとする姿がいじらしい。
登場人物も歴史上の人物が多く、名前が出てくるたびに、おおこの人をここで登場させるのか、と楽しくなる。史実や伝説を今後どう絡めて話を進めていくのかいろいろ興味深い。平安朝の権力闘争とかリアルに描くと暗くなるが、そこは深く描かれないのでかえってほっとする。

ここからは「朧の森に棲む鬼」と関連した話。
「朧の森に棲む鬼」を見た後に『きつねの橋』を読み始めたのだが、登場人物に同じ名前があって驚いた。
「朧の森に〜」を見た後いろいろ検索して、登場人物の名が源頼光の四天王の名とそれぞれ呼応していることを知った。
渡辺綱  ーツナ
碓井貞光 ーサダミツ
卜部季武 ーウラベ
坂田金時 ーキンタ
源頼光の四天王の中で知ってたのは渡辺綱と坂田金時で、後の2人は検索するまで知らなかった。
そして源頼光はライであり、「朧の森に〜」で四天王とされていたヤスマサは藤原保昌という頼光と並び称された武人らしい。

だから『きつねの橋』の主人公が平貞道と知った時驚いたのだ。貞道は碓井の国から来ている。名前違うけど同じ人?検索したら碓井貞光は「一説に平貞道」という記述があるので、たぶん同じ人だと思う。
そして郎党に平季武がいて彼と仲良くなるのだが、彼も卜部季武と同じ人なのだろう。
その上大盗賊の袴垂(はかまだれ)も出てくるのだが、彼は「朧の森に棲む鬼」のマダレのモデルらしい。
前後して見た(読んだ)作品がこれほどシンクロしていることに驚いた。でも娘に言われて気がついたのだけど、作品を選ぶときは無意識に元々関心のある題材を選ぶから、内容が被るのは当たり前。両方ともわたしの好みの作品だったわけだ。
「朧の森に棲む鬼」2007年

「朧の森に棲む鬼」2007年

「朧の森に棲む鬼」劇団⭐︎新感線 2007年

BS松竹東急で放映されたのを録画視聴。1幕と2幕を2日に分けて見た。
おもしろかった〜!
まずタイトルがいい。これだけでわくわくする。美しく凄惨な作風はタイトルも含めて木原敏江の『夢の碑』を思い起こさせる。作画木原敏江で漫画化しても似合いそう。

始まりは「マクベス」みたい。「リチャード三世」を元にしてるらしいけど、その他「大江山酒呑童子伝説」とか、色々な要素がいっぱい。1幕は登場人物が多くて名前と人関係と状況を追うのに忙しい。2幕はすごいスピードでどんどん進み1幕の伏線回収していく。1幕からアクションは激しかったけど、2幕はさらにスピードアップ。そして血飛沫、血反吐のオンパレード、終盤には雨の場面で舞台が本当に水浸し。もう息もつかせぬ圧巻の舞台。これ現場で見てたら否応なく観客もその世界に引きずり込まれ、ものすごい緊張感に疲労困憊するだろうな。これだけ舞台の醍醐味を体感させてくれるのだもの、劇団⭐︎新感線に熱狂的ファンが多いのもわかる。今はそんな体力ないけど、若かったら通いつめたかも。
そして当時の俳優陣最高!市川染五郎(現十代目松本幸四郎)の若さ、美貌、色気。さらに動きのキレの良さ。最初の頃は剣に振り回されているのがよくわかり、演技の細かさにも感心した。舌先三寸で人をたぶらかす悪党ぶりはたしかにリチャード三世。
安倍サダヲも若くて可愛いくて、殺陣でもこんなに動けるのかと驚いた。
古田新太は相変わらずの貫禄、存在感半端ない。好き。
女性陣もいい。オボロとの2役の3人、それぞれ好きな女優さん。
秋山菜津子。「SHIRO」で見た時から好きです。どこまでもついていきます。
高田聖子。いつも達者。でも彼女もとてもかっこいいので、あまりコミカルに振れすぎないでほしい(これは演出への文句)
真木よう子。いやあ、綺麗だ、見惚れました。このメンバーの中だとせりふや歌にやや難ありなのは仕方ない。
その他の俳優陣もみな個性的というよりクセ強くてインパクト大。みんなとにかくよく動く。走り回ってる。それに何役もやるのだから本当にお疲れさまです。
衣装も凝ってた。ライの位が上がるたび衣装が豪華になっていき、見てわかるのが楽しい。でも大量の血糊で汚れた衣装、洗ってまた使えるか心配になった。

俳優、衣装、舞台演出、これ今やるのは大変だろう思ったら、2024年には歌舞伎NEXTとして再演され、その記念でこの2007年版が放送された。たしかに今この作品やるなら歌舞伎に合うだろうと思う。

おもしろかったけどとても疲れたのも事実。役者もだけど見る方にもめちゃくちゃ体力いる。これ1日2回公演なんて出来たのかしら。
兄の来訪

兄の来訪

夕方久しぶりに兄が来た。先日三浦海岸までドライブしてきて、その土産の「よこすか海軍カレー」を持ってきてくれた。本当は先週来る予定だったけど、疲れがたまって風邪ひいて寝ていたそうだ。いつもならわりとすぐ回復するのに、今回は長引いているので心配していた。兄自身も「年のせいで治りが遅くなった」とぼやいていたけど、でも今日はいつも通りで安心した。
車で2時間かけて来て、1時間半機嫌よく喋り倒して、また2時間かけて帰っていった。運転は昔から好きで苦にならないらしい。普段1人暮らしで喋る相手がいないのでたまってる分、ウチに来ると居る間中ずっと喋っている。相手するこちらは結構疲れるのだが、それで気分が良くなるならと、高齢者兄妹で(娘も加わり)まあまあ楽しくお喋りしている。70歳過ぎて1人暮らし、病気の時は心細いだろうしわたしも心配なので、出来ればもう少し近くに住んでほしいのだが。働ける間は働いて仕事辞めたら考えると言っている。年取ってからの引っ越しは、体にも精神的にも堪えるだろうから、できるなら今から準備していた方がいいのだけれど。
2月になった

2月になった

久しぶりに投稿を再開して、あっという間に1ヶ月経ってしまった。大丈夫かなと思っていたけど、これまでなんとか続けられた。
日々感じること、思うことはあっても、それをあらためて書き起こすのが面倒だった。でもほっとくと消えてしまう思いを、備忘録として書き残すことは必要かなと考えるようになった。年のせいでだんだん物忘れも多くなってくし、ボケ防止にもなるのではないか。
頭で考えているだけより、はっきり言語化した方が思考の整理になる。本の感想もただなんとなく感じていたことが、書いてるうちにはっきりしてきて「あ、あれはそういうことか!」と気づかされたり。これはやはり書かないとわからないことだった。
そしてここは文字数制限がないので、そこが一番気楽でいい。

今朝起きてリビングのエアコンがつけっぱなしだった。いつも娘の方が寝るのが遅いのでたいてい娘が消している。昨夜は娘がわたしより早く自室に引き上げたので、わたしが消さなくてはならなかったのに、うっかりいつものクセでもう消えていると思い込んだのだ。最近こういう「うっかり」が多い。寝る前はちゃんと確認すること、これを肝に銘じた。
でもおかげで今朝暖かったのでそれは助かった。
『ツリーホーン、どんどん小さくなる』

『ツリーホーン、どんどん小さくなる』

『ツリーホーン、どんどん小さくなる』
フローレンス・パリー・ハイド・著
エドワード・ゴーリー・絵 三辺律子・訳
東京創元社 2025年

おもしろいタイトルだなあと思っていたら、いつのまにか娘が注文していて今日届いた。ゴーリーならそりゃ娘は即買うだろう。
タイトル通り、ツリーホーンという男の子がどんどん小さくなる話。ただそれだけ。ゴーリーの絵なんだけど、でもいつもの不穏さはあまり感じられず、ただナンセンスで可愛い。しかもあと2冊続刊あるという。
長岡良子「古代幻想ロマンシリーズ」

長岡良子「古代幻想ロマンシリーズ」

久保田香里『青き竜の伝説』が物足りなく思ったのは、わたしが長らく愛読している長岡良子「古代幻想ロマンシリーズ」のせいかもしれない。
律令国家体制が整う以前の時代を背景に、実在架空の人物が入り乱れ、それぞれが生き生きと活躍する、古代史好きにはたまらないシリーズ。政治に翻弄されながらその時代を力のかぎり生きた人々に、超常力を持つ不思議な存在を絡めて奥深い世界を作り出している。
超能力者の存在は歴史的に正確さに欠けるのかもしれないが、新しい国家新しい政治体制が確立する過程で、人々の暮らしに根付いていた信仰の対象の古き神々が、禍々しいものとして貶められ、闇の存在として葬られていった歴史を考えると、そういう存在への哀惜の気持ちが彼らを登場させているのではと思う。それが古代史ファンタジーの傑作(わたしはそう信じている)「古代幻想ロマンシリーズ」なのである。
この作品のおかげで古代史、人物名、それぞれの関係などいろいろ勉強できて感謝している。

『青き竜の伝説』を読んで、長岡さんならどんなふうに描くだろうと想像を膨らませている。
長らく新作の発表がない。お元気でいられるのだろうか。
『青き竜の伝説』

『青き竜の伝説』

『青き竜の伝説』 久保田香里・作 戸部 淑・絵  岩崎書店 2005年

『駅鈴』『氷石』で気になった作者のデビュー作。
遠見という地方の村の少年あかると幼なじみの巫女の更羽。遠見を支配しようとやってきた倭の軍勢から村を守るため、2人は伝説の巫女の力を頼ろうと旅立つ。

古代ファンタジーの入門編という感じかな。とても好みの題材なのだけど、『駅鈴』『氷石』のようにどっしりした感じに比べあっさりしていて、ちょっと物足りなく感じた。いろいろな要素がいっぱい詰まっていて、どうしてもかけ足になってしまったようで、もったいないと思ってしまった。
この時代はまだ天皇ではなく「おおきみ」を長にした倭という「くに」が、周辺の地方を攻め勢力を拡大し、やがて大和朝廷となっていった時期だった。巫女や湖の精霊など古き神々が息づく地と、まつろわぬ地方の民を力で支配しようとする倭。その攻防は日本神話の成り立ちを表すものでもある。まっすぐな気性のあかる、一癖ある屈折した倭の皇子一鷹、倭の将軍や巫女など登場人物も魅力的なので、またこの題材でじっくり書いてほしい。
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